クレジットカードの名義人に成り済ます行為と詐欺罪

(平成16年2月9日最高裁)

事件番号  平成14(あ)1647

 

(1) Aは,友人のBから,

同人名義の本件クレジットカードを預かって

使用を許され,その利用代金については,Bに交付したり,

所定の預金口座に振り込んだりしていた。

 

その後,本件クレジットカードを被告人が入手した。

その入手の経緯はつまびらかではないが,当時,Aは,

バカラ賭博の店に客として出入りしており,

暴力団関係者である被告人も,

同店を拠点に賭金の貸付けなどをしていたものであって,

両者が接点を有していたことなどの状況から,

本件クレジットカードは,Aが自発的に被告人を含む

第三者に対し交付したものである可能性も排除できない。

 

なお,被告人とBとの間に面識はなく,

BはA以外の第三者が本件クレジットカードを

使用することを許諾したことはなかった。

 

(2) 被告人は,本件クレジットカードを入手した直後,

加盟店であるガソリンスタンドにおいて,

本件クレジットカードを示し,

名義人のBに成り済まして自動車への給油を申し込み,

被告人がB本人であると従業員を誤信させてガソリンの給油を受けた。

 

上記ガソリンスタンドでは,名義人以外の者による

クレジットカードの利用行為には応じないこととなっていた。
(3) 本件クレジットカードの会員規約上,クレジットカードは,

会員である名義人のみが利用でき,他人に同カードを譲渡,貸与,

質入れ等することが禁じられている。

 

また,加盟店規約上,加盟店は,クレジットカードの

利用者が会員本人であることを善良な管理者の注意義務をもって

確認することなどが定められている。

 

以上の事実関係の下では,被告人は,

本件クレジットカードの名義人本人に成り済まし,

同カードの正当な利用権限がないのにこれがあるように装い,

その旨従業員を誤信させてガソリンの交付を受けたことが認められるから,

被告人の行為は詐欺罪を構成する。

 

仮に,被告人が,本件クレジットカードの名義人から

同カードの使用を許されており,かつ,

自らの使用に係る同カードの利用代金が会員規約に従い

名義人において決済されるものと

誤信していたという事情があったとしても,

本件詐欺罪の成立は左右されない。

 

したがって,被告人に対し本件詐欺罪の成立を

認めた原判断は,正当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク