コンビニのフランチャイズ契約の法律関係

(平成20年7月4日最高裁)

事件番号  平成19(受)1401

 

この裁判は、

コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営者が,

加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について,

加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係によれば,

加盟店経営者が本件発注システムによって

商品を仕入れる場合,仕入商品の売買契約は加盟店経営者と

推薦仕入先との間に成立し,その代金の支払に関する

事務を加盟店経営者が被上告人に

委託する(以下,これを「本件委託」という。)

という法律関係にあるものと解される。

 

したがって,本件委託は,準委任(民法656条)の

性質を有するものというべきである。

 

もっとも,本件委託は本件基本契約の一部を成すものであるところ,

前記事実関係によれば,本件基本契約においては

被上告人の支払った仕入代金が

オープンアカウントにより決済されることから,

被上告人は,仕入代金相当額の費用の前払(民法649条参照)を

受けることなく委託を受けた事務を処理することになり,しかも,

支出した費用について支出の日以降オープンアカウントによる

決済の時までの利息の償還(同法650条参照)を請求し得ず,

本件委託に基づく仕入代金の支払について

報酬請求権(商法512条参照)も有しないなど,

本件委託に通常の準委任とは異なる点(以下,これを「本件特性」という。)が

存することは明らかである。

 

そこで,以上の本件委託の性質を踏まえて,

本件基本契約上,被上告人が加盟店経営者である

上告人らに対して仕入代金の具体的な

支払内容について報告義務を負うか否かを検討する。

 

本件基本契約には,本件発注システムによる

仕入代金の支払に関する被上告人から

加盟店経営者への報告については

何らの定めがないことは前記確定事実のとおりである。

 

しかし,コンビニエンス・ストアは,

商品を仕入れてこれを販売することによって成り立っているのであり,

商品の仕入れは,加盟店の経営の根幹を成すものということができるところ,

加盟店経営者は,被上告人とは独立の事業者であって,

自らが支払義務を負う仕入先に対する

代金の支払を被上告人に委託しているのであるから,

仕入代金の支払についてその具体的内容を知りたいと

考えるのは当然のことというべきである。

 

また,前記事実関係によれば,被上告人は,加盟店経営者から

商品の発注データ及び検品データの送信を受け,

推薦仕入先から検品データに基づく

請求データの送信を受けているというのであるから,

被上告人に集約された情報の範囲内で,本件資料等提供条項によって

提供される資料等からは明らかにならない

具体的な支払内容を加盟店経営者に報告すること

(以下,この報告を「本件報告」という。)に大きな困難があるとも考えられない。

そうすると,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する

被上告人から加盟店経営者への報告について何らの定めがないからといって,

委託者である加盟店経営者から請求があった場合に,

準委任の性質を有する本件委託について,

民法の規定する受任者の報告義務(民法656条,645条)が

認められない理由はなく,本件基本契約の合理的解釈としては,

本件特性があるために被上告人は

本件報告をする義務を負わないものと解されない限り,

被上告人は本件報告をする義務を

免れないものと解するのが相当である。

 

そして,本件特性については,これのみに注目すると,通常の準委任と

比較して被上告人にとって不利益であり,被上告人の加盟店経営者に対する

一方的な援助のようにも見えるが,このことは,

仕入代金が前記のように被上告人において加盟店の売上金の管理等をする

オープンアカウントにより決済されることに伴う結果であるし,

前記事実関係によれば,被上告人には,オープンアカウントによる

決済の方法を提供することにより,仕入代金の支払に

必要な資金を準備できないような者との間でも本件基本契約を締結して

加盟店を増やすことができるという利益があり,また,

加盟店経営者がオープンアカウントによる決済の方法を利用して

仕入商品を増やせば,売上げも増えることが見込まれ,

売上利益に応じた加盟店経営に関する対価を取得する

被上告人の利益につながるのであるから,本件特性があるために

被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解することはできない

 

したがって,被上告人は,本件基本契約に基づき,

上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を

負うものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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