サブリース契約と借地借家法32条1項の適用の有無

(平成15年10月23日最高裁)

事件番号  平成14(受)852

 

 

最高裁判所の見解

本件契約が建物賃貸借契約に当たり,

これに借地借家法の適用があるという以上,特段の事情のない限り,

賃料増減額請求に関する同法32条も本件契約に適用があるというべきである。

 

本件契約には賃料保証特約が存し,

上告人の前記賃料減額請求は,同特約による

保証賃料額からの減額を求めるものである。

 

借地借家法32条1項は,強行法規であって,

賃料保証特約によってその適用を

排除することができないものであるから

(最高裁昭和28年 (オ)第861号同31年5月15日

第三小法廷判決・民集10巻5号496頁,

最高裁昭和54年 (オ)第593号同56年4月20日

第二小法廷判決・民集35巻3号656頁参照),

上告人は,本件契約に賃料保証特約が存することをもって

直ちに保証賃料額からの減額請求を否定されることはない。

 

ところで,本件契約は,不動産賃貸業等を営む会社である上告人が,

土地所有者である被上告人の建築したビルにおいて

転貸事業を行うことを目的とし,

被上告人に対し一定期間の賃料保証を約し,被上告人において,

この賃料保証等を前提とする収支予測の下に

多額の銀行融資を受けてビルを建築した上で締結されたものであり,

いわゆるサブリース契約と称されるものの一つである。

 

そして,本件契約は,上告人の転貸事業の一部を構成するものであり,

それ自体が経済取引であるとみることができるものであり,また,

本件契約における賃料保証は,被上告人が上告人の転貸事業のために

多額の資本投下をする前提となったものであって,

本件契約の基礎となったものということができる。

 

しかし,このような事情は,本件契約に借地借家法32条が

適用されないとする特段の事情ということはできない。

 

また,本件契約に転貸借承継合意が存することによって,

被上告人が解約の自由を有するということはできないし,

仮に賃貸人が解約の自由を有するとしても,

賃借人の賃料減額請求権の行使が排斥されるということもできない。

 

ただし,賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断するに当たっては,

賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情を総合考慮すべきであり,

特に本件契約においては,上記の賃料保証特約の存在や

保証賃料額が決定された事情をも考慮すべきである。

 

以上によれば,本件契約の当事者が借地借家法32条に基づく

賃料増減額請求権を行使することができないとの判断に立って,

上告人の本訴請求①②を棄却し,被上告人の反訴請求②を

認容すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,

原判決中本訴請求①②及び反訴請求②に関する部分は破棄を免れない。

 

そして,上告人の賃料減額請求の当否等について

更に審理を尽くさせるため,上記部分につき,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

なお,上告人は,本訴請求③に関する上告については

上告受理申立て理由を記載した書面を提出しないから,

同部分に関する上告は却下することとする。

 

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