サブリース契約と借地借家法32条1項の適用の有無

(平成16年11月8日最高裁)

事件番号  平成15(受)869

 

最高裁判所の見解

(1) 前記の事実関係によれば,本件契約は,

被上告人が上告人に対して本件各建物部分を賃貸し,

上告人が被上告人に対してその対価として賃料を支払うというものであり,

建物の賃貸借契約であることが明らかであるから,

本件契約には借地借家法32条の規定が適用されるべきものである。

 

借地借家法32条1項の規定は,強行法規と解されるから,

賃料自動増額特約によってその適用を排除することが

できないものである(最高裁昭和28年(オ)第861号同31年5月15日

第三小法廷判決・民集10巻5号496頁,

最高裁昭和54年(オ)第593号同56年4月20日

第二小法廷判決・民集35巻3号656頁,

最高裁平成14年(受)第689号同15年6月12日第一小法廷判決・

民集57巻6号595頁,最高裁平成12年(受)第573号,

第574号同15年10月21日第三小法廷判決・

民集57巻9号1213頁参照)。

 

したがって,本件契約の当事者は,

本件賃料自動増額条項が存することにより上記規定に基づく

賃料増減額請求権の行使を妨げられるものではないから

(上記平成15年10月21日第三小法廷判決参照),

上告人は,上記規定により,本件各建物部分の

賃料の減額を求めることができるというべきである。

 

なお,前記の事実関係によれば,

本件契約締結に至る経緯,取り分け本件業務委託協定及び

これに基づき締結された本件契約中の

本件賃料自動増額特約に係る約定の存在は,

本件契約の当事者が,前記の契約締結当初の賃料額を決定する際の

重要な要素となった事情と解されるから,衡平の見地に照らし,

借地借家法32条1項の規定に基づく賃料減額請求の当否

(同項所定の賃料増減額請求権行使の要件充足の有無)及び

相当賃料額を判断する場合における重要な事情として

十分に考慮されるべきである。

 

(2) 以上によれば,本件契約への

借地借家法32条1項の規定の適用を極めて

制限的に解し,同項による賃料減額請求権の行使を

認めることができないとして,

上告人の請求を棄却し,被上告人の反訴請求中,

主位的請求の一部を認容した原審の判断には,

判決の結論に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨は理由があり,原判決中,上告人敗訴部分のうち,

上告人の請求並びに被上告人の賃料確認請求及び

平成11年4月分以降の未払賃料支払請求に係る部分は

破棄を免れない(なお,平成9年4月分から平成11年3月分までの

未払賃料支払請求に係る部分については,

上告人から不服申立てがない。)。

 

そして,上告人の賃料減額請求の当否等について

更に審理を尽くさせるため,上記部分につき,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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