スキー場で発生した滑降者同士の接触事故
(平成7年3月10日最高裁)
事件番号 平成6(オ)244
最高裁判所の見解
スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、
下方を滑降している者の動静に注意して、
その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び
進路を選択して滑走すべき注意義務を負うものというべきところ、
前記事実によれば、本件事故現場は急斜面ではなく、
本件事故当時、下方を見通すことができたというのであるから、
被上告人は、上告人との接触を避けるための
措置を採り得る時間的余裕をもって、
下方を滑降している上告人を発見することができ、
本件事故を回避することができたというべきである。
被上告人には前記注意義務を怠った過失があり、
上告人が本件事故により被った損害を賠償する責任がある。
そうすると、被上告人の過失を否定した原審の判断には
法令の解釈適用を誤った違法があり、
右違法が原判決の結論に影響することは明らかである。
論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
そして、本件については、上告人の被った損害の額及び
被上告人の主張する過失相殺の抗弁につき
更に審理を尽くさせる必要があるから、
これを原審に差し戻すのが相当である。
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