スーパーマーケットの経営会社の名板貸人の責任

(平成7年11月30日最高裁)

事件番号  平成4(オ)1119

 

最高裁判所の見解

1 原審の確定した事実関係によれば、

Bは、チェーンストア形式による総合小売業などを営む株式会社で、

地上四階建て(屋上あり)の本件店舗で

スーパーマーケットを営んでいたものであり、

被上告補助参加人は、そのテナントとして、

本件店舗屋上の一部においてペットショップを

営んでいたものであるところ、本件店舗の外部には、

Bの商標を表示した大きな看板が掲げられていたが、

テナント名は表示されていなかったというのであり、

本件店舗の内部においても、本件店舗の四階から

屋上に上がる階段の登り口に設置された屋上案内板や

右階段の踊り場の壁には、「ペットショップ」とだけ表示されていて、

その営業主体がBであるか被上告補助参加人であるかは

明らかにされておらず、そのほか、

被上告補助参加人は、Bの黙認の下に、

契約場所を大きくはみ出し、四階から屋上に上がる階段の踊り場等に

値札を付けた商品を置き、契約場所以外の壁に

「大売出し」と大書した紙を何枚も張りつけるなどして、

営業をしていたというのである。

 

これら事実は、買物客に対し、

被上告補助参加人の営業があたかも

Bの営業の一部門であるかのような外観を与える事実ということができる。

 

2 他方、本件においては、前記一の4ないし7の事実も

存在するというのであるから、これら事実が、

買物客が営業主体を外観上認識するにつき、

どのような影響を与えるかについて検討する。

 

(一) 被上告補助参加人の売場では、

B直営の売場と異なり、独自のレジが設けられて

対面販売方式が採られていたが、

被上告補助参加人の取扱商品であるペットは、

その性質上、スーパーマーケット販売方式になじまないものであって、

仮にBがそれを販売するにしても、

対面販売の方式が採られてもしかるべきものといえるから、

このことから買物客が営業主体を

外観上区別することができるとはいえない。

 

(二) 被上告補助参加人の従業員はBの制服等を着用していなかったが、

営業主体が同一の売場であっても、

その売場で取り扱う商品の種類や性質によっては、

他の売場の従業員と同一の制服等を着用していないことは、

世上ままあり得ることであって、

このことも買物客にとって営業主体を外観上区別するに足りるものとはいえない。

 

(三) 被上告補助参加人の発行するレシートには

被上告補助参加人の名称が記載されていたが、

レシート上の名称は、目立ちにくい上、

買物客も大きな注意を払わないのが一般であって、

営業主体を区別する外観としての意味はほとんどない。

 

(四) 被上告補助参加人はBと異なる包装紙や代済みテープを使用していたが、

これらは買物客にとってはBの包装紙等と比較して初めて判明する事柄であって、

両者の営業を外観上区別するに足りるものとはいい難い。

 

(五) 被上告補助参加人の売場の天井からは

テナント名を書いた看板がつり下げられており、また、

本件店舗内数箇所に設けられた館内表示板には、

テナント名も記載され、Bの販売する商品は黒文字で、

テナント名は青文字で表示されていたが、

天井からの看板は、横約四〇センチメートル、

縦約三〇センチメートルという大きさからして、

比較的目立ちにくいものといえるし、館内表示板は、

テナント名のみを色で区別して記載しているにすぎないから、

買物客に対し営業主体の区別を

外観上明らかにしているものとまではいい得ない。

 

してみれば、これら事実は、これを個々的にみても、

また総合してみても、買物客にとって、

被上告補助参加人の売場の営業主体がBでないことを

外観上認識するに足りる事実ということはできない。

 

3 以上によれば、本件においては、

一般の買物客が被上告補助参加人の経営する

ペットショップの営業主体は

Bであると誤認するのもやむを得ないような外観が

存在したというべきである。

 

そして、Bは、前記一の2のように本件店舗の外部に

Bの商標を表示し、被上告補助参加人との間において、

同3の内容の出店及び店舗使用に関する契約を締結することなどにより、

右外観を作出し、又はその作出に関与していたのであるから、

Bは、商法二三条の類推適用により、

買物客と被上告補助参加人との取引に関して

名板貸人と同様の責任を負わなければならない。

 

四 以上と異なる原審の判断には

商法二三条の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この点をいう論旨は理由があるから、

原判決は破棄を免れず、その余の争点について

更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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