ファイナンス・リース契約

(平成5年11月25日最高裁)

事件番号  平成3(オ)1495

 

最高裁判所の見解

1 前示事実関係、とりわけ本件リース目的物の

種類・性質、本件リース契約締結に至る経緯等によると、

本件リース契約はいわゆるファイナンス・リース契約であると

解することができるところ、ファイナンス・リース契約は、

物件の購入を希望するユーザーに代わって、

リース業者が販売業者から物件を購入のうえ、

ユーザーに長期間これを使用させ、右購入代金に

金利等の諸経費を加えたものをリース料として

回収する制度であり、その実体はユーザーに対する

金融上の便宜を付与するものであるから、

リース料の支払債務は契約の締結と同時にその全額について発生し、

ユーザーに対して月々のリース料の支払という方式による

期限の利益を与えるものにすぎず、また、

リース物件の使用とリース料の支払とは

対価関係に立つものではないというべきである。

 

したがって、ユーザーによるリース物件の使用が

不可能になったとしても、

これがリース業者の責めに帰すべき事由によるものでないときは、

ユーザーにおいて月々のリース料の支払を

免れるものではないと解すべきである。

 

2 前示事実関係によると、被上告会社は

訴外会社から手作りソフト付きコンピューターの引渡しを

受けた旨の受領書を上告人に交付したものの、

実際には右引渡しを受けていないというのであるから、

被上告会社は、少なくとも上告人との関係においては、

自ら本件コンピューターを占有使用することなく、

あえて訴外会社に保管させたものとして、

自らこれを占有すべき本件リース契約上の義務に

違反したものとみられてもやむを得ない立場にあるとみることができる。

 

そして、本件コンピューターが訴外会社の下にあることを知った

上告人が訴外会社の経営不振を理由にこれを引き揚げたことには、

無理からぬものがあるということができるから、その後、

被上告会社において積極的にその引渡しを求めたのに、

上告人がこれを拒絶したような事情でもあれば格別、

そうでなければ、右引揚げの結果生じた被上告会社の

本件コンピューターの使用不能の状態は、

むしろ被上告会社の前記本件リース契約上の義務違反に起因するものであって、

上告人の責めに帰すべきものということはできない。

 

3 そうだとすれば、上告人が訴外会社の下から

本件コンピューターを引き揚げたことのみから、

上告人が被上告会社において

これを使用できない状態を作出したものとして、

被上告会社に昭和六一年一〇月分以降の

リース料の支払義務はないとした

原審の判断は、リース契約に関する法令の解釈適用を誤り、

ひいては審理不尽、理由不備の違法があるものというべきであり、

その違法が原判決中上告人敗訴部分に影響を

及ぼすことは明らかである。これと同旨をいう論旨は理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件については、以上に説示したところに従い

更に審理を尽くさせる必要があるから、

これを原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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