ホテルの損害賠償義務の範囲を制限する宿泊約款の定めの適用

(平成15年2月28日最高裁)

事件番号  平成13(受)1061

 

この裁判では、

宿泊客がフロントに預けなかった物品の滅失毀損等につき

ホテル側に故意又は重大な過失がある場合と

ホテルの損害賠償義務の範囲を制限する宿泊約款の定めの適用について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件特則は,宿泊客が,

本件ホテルに持ち込みフロントに預けなかった物品,

現金及び貴重品について,ホテル側にその種類及び

価額の明告をしなかった場合には,

ホテル側が物品等の種類及び価額に応じた注意を

払うことを期待するのが酷であり,かつ,

時として損害賠償額が巨額に上ることがあり得ることなどを考慮して

設けられたものと解される。このような本件特則の趣旨にかんがみても,

ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に,

本件特則により,被上告人の

損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは,

著しく衡平を害するものであって,

当事者の通常の意思に合致しないというべきである。

 

したがって,本件特則は,ホテル側に故意又は

重大な過失がある場合には適用されないと解するのが相当である。

 

そうすると,本件盗難についてGに重大な過失がある場合には,

本件特則は適用されない。

 

以上によれば,本件特則が

ホテル側に重大な過失がある場合にも

適用されるとした原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

論旨は上記の趣旨をいうものとして理由があり,

原判決のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして,本件においてGに重大な過失があるか否かについて

更に審理を尽くす必要があり,また,

重大な過失が認められる場合には

過失相殺についても審理をする必要があるから,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク