マニラ保険金殺人等事件

(平成19年1月30日最高裁)

事件番号  平成15(あ)1624

 

最高裁判所の見解

本件は,(1) 被告人3名が共犯者3名と共謀の上,

共犯者の前夫の生命保険金から報酬を得る目的で,

同人をフィリピン共和国マニラ市内のホテルで窒息死させて殺害し,

(2) 被告人3名において,保険金取得の目的で,

知人男性を海外旅行傷害保険に加入させた上,

マニラ市内のマンションで同様に窒息死させて殺害し,

その死亡保険金を詐取しようとしたが果たさず,

(3) 被告人Aと被告人Bにおいて,以前に被告人Aから

恐喝の被害にあった男性を,金品取得の目的で

名古屋市内の一時滞在先に連れ込み,

睡眠薬で眠り込ませてクレジットカード等を窃取し,

その罪跡隠滅の目的で長野県内の別荘地まで連行して殺害し,

その死体を遺棄し,(4) そのほか,ア 被告人Aにおいて,

(2)の被害者と共謀の上,

(3)の被害者らから現金,航空券を喝取し,

 

イ 被告人Cにおいて,長兄に成り済まして現金を詐取するなどし,

ウ 被告人Aと被告人Bにおいて,

(3)の被害者のカードを使って現金を窃取するなどした,

という事案であるが,取り分け,

(1)ないし(3)の罪質は極めて悪質で,

結果も極めて重大である。(1),(2)は,

保険金取得のため病死を装うべく用意周到に計画した上で

敢行された犯行であり,動機に酌量の余地はなく,

睡眠薬で眠り込ませた被害者の顔面にラップフィルムをかぶせ,

その上からまくらを強く押し付けるという犯行態様は,

冷酷,非情であり,死亡後は病死したように偽装工作を

施すなどこうかつでもある。(3)は,何らの落ち度もなく

たまたま利欲目的の対象とされた被害者を,

長時間連れ回した挙げ句にネクタイで首を強く絞め付け,

頭部に石を投げ付けとどめを刺すという冷酷かつ残忍な態様で殺害し,

殺害直前に掘った穴に死体を埋めたもので,犯情は極めて悪い。

 

そして,被告人Aは,わずか1年半の間に,

フィリピンで殺人2件,日本国内で強盗殺人1件を犯したもので,

いずれについても実行に関与し,

特に(3)については首謀者として行動するなど,

重要な役割を果たしている。

 

被告人Bも同様に殺人2件と強盗殺人1件を犯し,

3名の尊い生命を奪ったもので,いずれについても殺害の主要部分を

積極的に分担している。

 

被告人Cの関与は殺人2件にとどまるものの,

(1)については,共犯者からの誘いを受けて,被告人A,被告人Bを

犯行に引き込み,(2)については,自ら犯行を発案,首謀しており,

いずれにおいても,被告人3名の中では主導的立場にある。

 

被告人3名の刑事責任は,いずれも極めて重大である。

 

これらの事情に加え,遺族らの被害感情,

本件各犯行が社会に与えた影響等に照らすと,

被告人A,被告人Cがいずれも基本的な事実関係を認めていること,

被告人Bはその余の被告人に比べて従属的な立場にあり,

事実を詳細に述べて反省の態度を示していることなど,

被告人3名のために酌むべき事情を考慮しても,

被告人3名の罪責はいずれも誠に重大であり,

被告人3名を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,

やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

 

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