マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

(平成10年10月22日最高裁)

事件番号  平成8(オ)1559

 

最高裁判所の見解

1 前記一の売買契約書、重要事項説明書、

管理規約案の記載に照らすと、

本件駐車場の専用使用権は、本件マンションの分譲に伴い、

上告人が特定の区分所有者に分譲したものであるところ、

右専用使用権を取得した特定の区分所有者は

右駐車場を専用使用し得ることを、

右専用使用権を取得しなかった区分所有者は右専用使用を

承認すべきことをそれぞれ認識し理解していたことが明らかであり、

分譲業者である上告人が、購入者の無思慮に乗じて

専用使用権分譲代金の名の下に暴利を得たなど、

専用使用権の分譲契約が公序良俗に反すると認めるべき事情も存しない。

 

なお、本件のように、マンションの分譲に際し

分譲業者が専用使用権を分譲して

対価を取得する取引形態は、好ましいものとはいえないが、

このことのゆえに右契約の私法上の効力を否定することはできない。

 

2 そして、右売買契約書の記載によれば、分譲業者である上告人は、

営利の目的に基づき、自己の利益のために専用使用権を分譲し、

その対価を受領したものであって、専用使用権の

分譲を受けた区分所有者もこれと

同様の認識を有していたと解されるから、

右対価は、売買契約書に基づく専用使用権分譲契約における合意の

内容に従って上告人に帰属するものというべきである。

 

この点に関し、上告人が、区分所有者全員の委任に基づき、

その受任者として専用使用権の分譲を行ったと解することは、

右専用使用権分譲契約における当事者の意思に反するものであり、

前記管理委託契約書の記載も右判断を左右しない。

 

また、具体的な当事者の意思や契約書の文言に関係なく、

およそマンションの分譲契約においては

分譲業者が専用使用権の分譲を含めて

包括的に管理組合ないし区分所有者全員の

受任者的地位に立つと解することも、

その根拠を欠くものといわなければならない。

 

3 したがって、委任契約における受任者に対する

委任事務処理上の金員引渡請求権に基づき右対価の引渡しを求める

被上告人の予備的請求は、理由がない。

 

四 そうすると、右と異なる原審の判断には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、以上に説示したところによれば、

被上告人の予備的請求は理由がないから、

第一審判決中、右予備的請求に関する部分を取り消した上、

これを棄却することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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