一事不再理効

(平成22年2月17日最高裁)

事件番号  平成21(あ)934

 

この裁判は、

前訴の建造物侵入,窃盗の訴因と

後訴の非現住建造物等放火の訴因との間には

公訴事実の単一性がなく,前訴の確定判決の

一事不再理効は後訴に及ばないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件放火と別件建造物侵入の関係についてみると,

第1審判決は,本件放火が行われたのは別件建造物侵入の際ではなく,

これに引き続き行われた2回目の侵入の際であったと認定したが,

これに対し,原判決は,

別件建造物侵入(以下「初回の侵入」という。)の際に

本件放火が行われた可能性がないとはいえないとした。

 

しかし,第1審判決の上記認定は,記録に照らし,

十分首肯できるから,この認定に事実誤認があるとした

原判断は誤りであるといわざるを得ない。

 

したがって,本件について検討するに当たっては,

本件放火が行われたのは2回目の侵入の際であって,

初回の侵入の際ではなかったことを前提とすべきである。

 

そして,第1審判決の認定するところによれば,

被告人は,初回の侵入において,現金等のほか,

自らの不正行為に関連する文書が入った段ボール箱を持ち出した上,

事務所を出る際,出入口の施錠をしつつ退去したというのであるから,

その後に行われた2回目の侵入が時間的に接着したもので,

初回の侵入と同様,証拠隠滅の目的によるとしても,

新たな犯意によるものと認めることが相当であり,

初回及び2回目の各侵入行為を

包括一罪と評価すべきものとはいえない。

 

そうすると,初回の侵入行為と本件放火行為とは

牽連関係に立つべきものではないから,

憲法39条後段違反をいう所論は前提を欠き,

刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 

本件について刑訴法337条1号を適用すべき場合に

該当しないとした原判決は,結論において相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク