一般廃棄物処理業不許可処分取消請求事件

(平成16年1月15日最高裁)

事件番号  平成14(行ヒ)312

 

最高裁判所の見解

(1) 市町村は,その区域内における一般廃棄物の処理に関する事業の実施を

その責務とするものであり,一般廃棄物処理計画を定め,

これに従って,自ら又は第三者に委託して,

一般廃棄物の収集,運搬等を行うべきものである

(廃棄物処理法4条1項,6条,6条の2)。

 

そして,廃棄物処理法7条3項1号は,

当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であることを

同条1項の許可の要件として定めている。そうすると,

同条3項1号の「当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬」とは,

当該市町村が自ら又は委託の方法により行う

一般廃棄物の収集又は運搬をいい,

一般廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者が行う一般廃棄物の収集又は

運搬はこれに当たらないものというべきである。

 

したがって,許可を受けた業者が一般廃棄物の収集又は

運搬をすることで区域内の一般廃棄物の収集及び運搬が

適切に実施されている場合であっても,

当該市町村が自ら又は委託の方法により区域内の

一般廃棄物の収集又は運搬を行うことが困難であるときは,

同号の要件を充足するものというべきである。

 

(2) ところで,廃棄物処理法は,上記のとおり,

一般廃棄物の収集及び運搬は本来市町村が

自らの事業として実施すべきものであるとして,

市町村は当該市町村の区域内の一般廃棄物処理計画を

定めなければならないと定めている。

 

そして,一般廃棄物処理計画には,

一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み,

一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する

基本的事項等を定めるものとされている(廃棄物処理法6条2項1号,4号)。

 

これは,一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みに基づいて,

これを適正に処理する実施主体を定める趣旨のものと解される。

 

そうすると,既存の許可業者等によって

一般廃棄物の適正な収集及び運搬が行われてきており,

これを踏まえて一般廃棄物処理計画が作成されているような場合には,

市町村長は,これとは別にされた

一般廃棄物収集運搬業の許可申請に

ついて審査するに当たり,一般廃棄物の適正な収集及び

運搬を継続的かつ安定的に実施させるためには,

既存の許可業者等のみに引き続きこれを行わせることが相当であるとして,

当該申請の内容は一般廃棄物処理計画に適合するものであるとは

認められないという判断をすることもできるものというべきである。

 

(3) これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,

松任市ではD公社により一般廃棄物の収集及び

運搬が円滑に遂行されてきていることを踏まえて

一般廃棄物処理計画が作成されていると解されるところ,

上告人は「当市において,既存の許可業者で

一般廃棄物の収集,運搬業務が円滑に遂行されており,

新規の許可申請は廃棄物処理法第7条第3項第1号及び第2号に適合しない」

との理由で本件不許可処分をしたというのであるから,

その実質は,上記の点を考慮した上,一般廃棄物の適正な収集及び

運搬を継続的かつ安定的に実施させるためには,

新たに被上告人に対して許可を与えるよりも,

引き続きD公社のみに一般廃棄物の収集及び運搬を

行わせる方が相当であるとして,本件許可申請は

一般廃棄物処理計画に適合するものであるとは

認められないと判断したものと解することができ,

そのような上告人の判断は許されないものとはいえないから,

本件不許可処分は適法であるというべきである。

 

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