上告が上訴権の濫用に当たるとされた事例
(平成6年4月19日最高裁)
事件番号 平成5(行ツ)180
最高裁判所の見解
特許出願の拒絶査定を是認する審決に対し取消訴訟が提起され、
その係属中に特許出願の取下げがされると、
その審決で審判の対象となった特許出願自体が初めから
存在しなかったことになるのであるから、
特許出願人は、右審決の取消しを求めるにつき
法律上の利益を失うに至るものである。上告人は、
前示のとおり、原判決の言渡し後に
特許出願を取り下げることにより、
自らこのような状態を現出させた上で、
訴えの利益を失ったことを理由として、
原判決を破棄して訴えを却下することを求めて
本件上告をしたものであるが、このような上告は
上訴制度の本来予定しないところであって、
本件上告は、上訴権の濫用に当たるものとして不適法であり、
その欠缺を補正することができないものというべきである。
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