不動産仮差押命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

(平成15年1月31日最高裁)

事件番号  平成14(許)23

 

最高裁判所の見解

(1) 仮差押えは,金銭の支払を目的とする債権について,

強制執行をすることができなくなるおそれがあり,

又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるという

仮差押命令の必要性が存するときに,

債務者の所有する財産の処分を禁止することにより

本案の権利に基づく強制執行を保全する制度である

(民事保全法1条,20条1項参照)。

 

仮差押命令の申立てにおいては,

被保全債権及び債務者の所有する

特定の物(動産については,特定を要しない。)についての

仮差押命令の必要性が審理の対象となるところ(同法13条,20条,21条),

ある被保全債権に基づく仮差押命令が発せられた後でも,

異なる目的物についての強制執行を

保全しなければ当該債権の完全な弁済を得ることができないとして

仮差押命令の必要性が認められるときは,

既に発せられた仮差押命令の必要性とは異なる必要性が

存在するというべきであるから,

当該目的物についての仮差押命令の申立てにつき

権利保護の要件を欠くものではない。

 

(2) したがって,特定の目的物について既に仮差押命令を得た債権者は,

これと異なる目的物について更に仮差押えをしなければ,

金銭債権の完全な弁済を受けるに足りる

強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき,

又はその強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときには,

既に発せられた仮差押命令と同一の被保全債権に基づき,

異なる目的物に対し,更に仮差押命令の申立てをすることができる。

 

このように解しても,

裁判所が無用な判断を行うことにはならず,また,

債権者が過剰な満足を受けることにもならない。

 

なお,先後両仮差押命令に定められる仮差押解放金の額の合計が

被保全債権の額を超えることとなる場合にも,

仮差押解放金の供託により仮差押えの執行の停止又は

取消しを求めようとする債務者に被保全債権の額を超える

仮差押解放金の供託をさせることがないような扱いをすることが可能であり,

上記の場合が生ずるとしても,異なる目的物に対し

更に仮差押命令を発することの障害となるものではない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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