不動産引渡命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(平成11年10月26日最高裁)
事件番号 平成11(許)25
最高裁判所の見解
執行裁判所は、競売の対象とされた土地上に競売の対象とは
されていない建物等土地の定着物が存在する場合であっても、
代金を納付した右土地の買受人の申立てにより、
債務者又は占有者に対して右土地を買受人に引き渡すべき旨を
命ずることができると解するのが相当である。
けだし、引渡命令は、不動産の引渡執行の債務名義であるところ、
競売の対象とされていない建物等の存在により
その敷地部分の引渡執行が事実上不能となることが
予想されるからといって、競売により
買い受けられた土地について引渡命令を求める申立ての
利益が否定されるわけではなく、
かかる場合に引渡命令を発付することが許されないとすると、
買受人のために簡易迅速な占有取得の手段を
確保するという引渡命令の趣旨に反することになるからである。
これと同旨をいう原審の判断は、正当として是認することができる。
論旨は採用することができない。
スポンサードリンク