事後強盗

(平成21年10月8日最高裁)

事件番号  平成20(あ)181

 

この裁判は、

事後強盗としての暴行についての共謀等を認めなかった原判決を

重大な事実誤認の疑いが顕著であるとして破棄して差し戻した事例です。

 

最高裁判所の見解

事実関係によれば,被告人は,Aに助けを求め,

Aがこれに呼応した際,Bによって精一杯の力で取り押さえられ,

身体を前後に動かしても逃れることができない状態にあったのであるから,

Aが被告人を助け出すためには,AがBに対して上記取り押さえを

排除するに足るだけの暴行を加える必要があったのであり,

被告人及びAもそのことを認識していたものと推認することができる。

 

したがって,被告人は,Aに助けを求め,

Aがこれに呼応した時点において,

Bに対して暴行を加えることについて意思を相通じたにとどまらず,

Bの逮捕遂行の意思を制圧するに足る程度,

すなわちBの反抗を抑圧するに足る程度の暴行を加えることについても,

これを認識認容しつつ,Aと意思を

相通じたものと十分認め得るというべきである。

 

そうすると,被告人は,Bに対して暴行に及ぶことについては

Aと意思を相通じたものと認められるとしながら,

その暴行の程度について,被告人は,Bの反抗を

抑圧するに足る程度の暴行を加えるに至ることまでも認識認容し,

そのことについてAと意思を相通じたものとは認められないとした

原判決の事実認定は,経験則に照らして,

合理性を欠くものであるといわざるを得ない

 

以上によれば,事後強盗としての暴行について被告人が認識認容し,

Aと意思を相通じていた事実は認められないとした原判決は,

重大な事実の誤認をした疑いが顕著であるというべきである。

 

これが判決に影響を及ぼすことは明らかであって,

原判決中被告人に関する部分を破棄しなければ

著しく正義に反すると認められる。

 

なお,原判決は,被告人について,

新たに窃盗及び傷害の各事実を認定したほか,

第1審判決判示第2及び第3の各事実を認め,

これらの事実が刑法45条前段の併合罪の関係にあるというのであるから,

上記窃盗及び傷害の各事実のみを分離することはできないので,

原判決中被告人に関する部分を全部破棄することとする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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