人身保護請求事件

(平成11年4月26日最高裁)

事件番号  平成11(オ)133

 

最高裁判所の見解

前記事実関係によれば、上告人と被上告人は、

本件調停の期日において、調停委員の関与の下に、

現に上告人が監護している二人の子を日時場所を限って

被上告人と面接させることについて合意するに至ったものであり、

被上告人は、右の合意によって二人の子との面接が

実現したものであるにもかかわらず、

その機会をとらえて、実力を行使して被拘束者を

面接場所から被上告人宅へ連れ去ったのである。

 

被上告人の右行為は、調停手続の進行過程で

当事者の協議により形成された合意を実力をもって

一方的に破棄するものであって、調停手続を無視し、

これに対する上告人の信頼を踏みにじったものであるといわざるを得ない。

 

一方、本件において、上告人が被拘束者を監護することが

著しく不当であることをうかがわせる事情は認められない。

 

右の事情にかんがみると、本件においては、

被上告人による被拘束者に対する拘束には

法律上正当な手続によらない顕著な違法性があるというべきである。

 

被拘束者が、現在、良好な養育環境の下にあることは、

右の判断を左右しない。

 

そうすると、原審の判断には人身保護法二条、

人身保護規則四条の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は理由があり、上告理由について判断するまでもなく、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、前記認定事実を前提とする限り、

上告人の本件請求はこれを認容すべきところ、

本件については、幼児である被拘束者の法廷への出頭を確保する必要があり、

この点をも考慮すると、前記説示するところに従い、

原審において改めて審理判断させるのを相当と認め、

これを原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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