介護保険法(平成17年法律第77号による改正前のもの)22条3項

(平成23年7月14日最高裁)

事件番号  平成21(行ヒ)401

 

この裁判は、

介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を府知事から受けた事業者が,

不正の手段によって当該指定を受けた場合において,

市から受領した居宅介護サービス費等につき介護保険法

(平成17年法律第77号による改正前のもの)22条3項に基づく

返還義務を負わないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

介護報酬は所定の要件と基準を満たす場合に市町村から

事業者に対して支払われるものであり(介護保険法41条,46条),

これを欠いた支払が事業者に対してされた場合には,

市町村は事業者に不当利得の返還を求め得ると解される。

 

そして,介護保険法22条3項は,事業者が

上記支払を受けるに当たり偽りその他不正の行為をした場合における

介護報酬の不当利得返還義務についての

特則を設けたものと解される。

 

そうすると,事業者が同項に基づき

介護報酬の返還義務を負うものと認められるためには,

その前提として,事業者が介護報酬の支払を受けたことに

法律上の原因がないといえる場合であることを要するというべきである。

 

前記事実関係によれば,参加人は,本件期間において,

本件各指定を受けた上で本件各事業所における

事業を行っていたものであるところ,

参加人が不正の手段によって指定を受けたという

指定当初からの瑕疵の存在を理由とする大阪府知事による

本件各指定の取消しはされておらず,また,

参加人が大阪府知事から本件各指定を受けるに当たっての

原審の認定に係る前記3(2)の経緯も,

本件各指定を無効とするほどの

瑕疵の存在をうかがわせるものとはいえない。

 

そうすると,参加人が前記の既に返還済みの部分を除いた

介護報酬の支払を受けたことにつき,不正の手段によって

指定を受けたことの一事をもって,

直ちに法律上の原因がないということはできず,

他に法律上の原因がないことをうかがわせる事情もない。

 

以上によれば,参加人は,堺市に対し,

被上告人の請求に係る介護保険法22条3項に基づく

介護報酬の返還義務を負うものではないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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