住民監査請求における対象の特定の程度

(平成16年12月7日最高裁)

事件番号  平成12(行ヒ)211

 

最高裁判所の見解

住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為又は

怠る事実(以下「当該行為等」という。)を,他の事項から

区別し特定して認識することができるように,個別的,

具体的に摘示することを要するが,監査請求書及びこれに

添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が

提出したその他の資料等を総合して,住民監査請求の対象が特定の

当該行為等であることを監査委員が認識することが

できる程度に摘示されているのであれば,

これをもって足りるのであり,上記の程度を超えてまで当該行為等を

個別的,具体的に摘示することを要するものではないというべきである。

 

そして,この理は,当該行為等が複数である場合で

あっても異なるものではない。

 

最高裁平成元年(行ツ)第68号同2年6月5日第三小法廷判決・

民集44巻4号719頁は,以上と異なる趣旨をいうものではない。

 

前記事実関係等によれば,本件監査請求は,

旅費調査委員会等の各調査において

それぞれ事務処理上不適切な支出とされたものである本件各旅費の支出が

違法な公金の支出であるとして,これによる県の損害を

てん補するために必要な措置を講ずることを求めるものであり,

旅費調査委員会等の各調査においては,それぞれ対象とする旅費の支出について

1件ごとに不適切なものであるかどうかを調査したというのであるから,

本件監査請求において,対象とする各支出,

すなわち,支出負担行為,支出命令及び法232条の4第1項にいう

狭義の支出について,支出に係る部課,支出年月日,

支出金額等の詳細が個別的,具体的に摘示されていなくとも,

県監査委員において,本件監査請求の対象を特定して

認識することができる程度に摘示されていたものということができる。

 

そうすると,本件監査請求は,

請求の対象の特定に欠けるところはないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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