住民監査請求

(平成19年4月24日最高裁)

事件番号  平成17(行ヒ)341

 

最高裁判所の見解

地方自治法242条2項本文の規定(以下「本件規定」という。)は,

同条1項の規定による住民監査請求のうち

財務会計上の行為を対象とするものは,

当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは,

これをすることができない旨定めている。

 

これは,財務会計上の行為は,

たとえそれが財務会計法規に違反して違法であるか,

又は財務会計法規に照らして不当なものであるとしても,

いつまでも監査請求ないし

住民訴訟の対象となり得るものとしておくことは,

法的安定性を損ない好ましくないことから,

監査請求期間を,非継続的な

財務会計上の行為については当該行為のあった日から,

継続的な財務会計上の行為については当該行為の終わった日から,

それぞれ1年間に限ることとしたものである

(最高裁平成10年(行ヒ)第51号同14年7月2日

第三小法廷判決・民集56巻6号1049頁参照)。

 

このような本件規定の趣旨からすれば,

財産の管理を怠る事実に係る実体法上の請求権が

除斥期間の経過により消滅するなどして怠る事実が終わった場合には,

継続的な財務会計上の行為の終わった日から

1年を経過したときはこれを対象とする

監査請求をすることができないのと同様に,

怠る事実の終わった日から1年を経過したときは

これを対象とする監査請求をすることが

できないものと解するのが相当である。

 

また,上記の場合において,上記請求権の行使を怠り,

同請求権を除斥期間の経過により

消滅させるなどしたことが違法であるとし,

当該怠る事実(以下「第1の怠る事実」という。)が

違法であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって

財産の管理を怠る事実(以下「第2の怠る事実」という。)とした上で,

第2の怠る事実を対象とする監査請求がされたときは,

当該監査請求については,第1の怠る事実の終わった日を基準として

1年の監査請求期間の制限に服するものと解するのが相当である。

 

なぜなら,前記のとおり,

第1の怠る事実を対象とする監査請求は,

第1の怠る事実の終わった日から1年を経過したときは

これをすることができないにもかかわらず,

監査請求の対象を第1の怠る事実が違法であることに基づいて

発生する実体法上の請求権の不行使という

第2の怠る事実として構成することにより,

監査請求期間の制限を受けずに実質的に

第1の怠る事実を対象とする監査を求めることができるものとすれば,

本件規定が監査請求期間を制限した前記趣旨が

没却されるといわざるを得ないからである。

 

これを本件についてみると,

原審の適法に確定した事実関係によれば,

上告人らの監査請求は,Aが,町のBに対する

瑕疵の修補に代わる損害賠償請求権の行使を怠り,

同請求権を除斥期間の経過により消滅させたことを違法であるとし,

当該怠る事実が違法であることに基づいて

発生する実体法上の請求権である町のAに対する

損害賠償請求権の不行使をもって

財産の管理を怠る事実としているものである。

 

そして,上告人らの監査請求は,

Bに対する上記損害賠償請求権が除斥期間の経過により

消滅したとされる日から1年を経過した後に

されたものであるというのである。

 

そうすると,上告人らの監査請求は,

Bに対する上記損害賠償請求権の行使を怠る事実の終わった日から

1年を経過した後にされた不適法なものというべきであって,

本件訴えは,適法な監査請求の前置を欠く

不適法な訴えとして却下を免れない。

 

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