使用者の不法行為を理由とする損害賠償と過失相殺

(平成20年3月27日最高裁)

事件番号  平成18(受)1870

 

この裁判は、

業務上の過重負荷と基礎疾患とが共に原因となって

従業員が死亡した場合において,

使用者の不法行為を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり,

使用者による過失相殺の主張が訴訟上の信義則に反するとして

民法722条2項の規定を類推適用しなかった

原審の判断に違法があるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが

共に原因となって損害が発生した場合において,

当該疾患の態様,程度等に照らし,

加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,

裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,

民法722条2項の規定を類推適用して,

被害者の疾患をしんしゃくすることができる

(最高裁昭和63年(オ)第1094号平成4年6月25日

第一小法廷判決・民集46巻4号400頁参照)。

 

このことは,労災事故による損害賠償請求の場合においても,

基本的に同様であると解される。

 

また,同項の規定による過失相殺については,

賠償義務者から過失相殺の主張がなくとも,

裁判所は訴訟にあらわれた資料に基づき

被害者に過失があると認めるべき場合には,

損害賠償の額を定めるに当たり,

職権をもってこれをしんしゃくすることができる

(最高裁昭和39年(オ)第437号同41年6月21日第三小法廷判決・

民集20巻5号1078頁参照)。

 

このことは,同項の規定を類推適用する場合においても,

別異に解すべき理由はない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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