保険金請求権の消滅時効の起算点

(平成20年2月28日最高裁)

事件番号  平成19(受)733

 

この裁判は、

保険契約に適用される約款に基づく履行期が

合意によって延期されたと認められ,

保険金請求権の消滅時効の起算点が

その翌日となるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

上告人は,本件保険金請求権について,

本件消滅時効の起算点を争い,

上告人は本件免責通知書を受領するまでは

本件保険金請求権を行使することができず,

その履行期が到来していないのであるから,

本件消滅時効は上告人が本件免責通知書を

受領した平成14年12月12日から進行し,

本件訴訟の提起時にはまだ

本件消滅時効は完成していなかった旨主張する。

 

保険金支払条項による履行期は,同条項のただし書にかかわらず,

保険金請求手続が行われた日からその日を含めて

30日を経過した日に到来すると解すべきである

(最高裁平成5年(オ)第1858号同9年3月25日

第三小法廷判決・民集51巻3号1565頁参照)。

 

しかし,前記事実関係によれば,本件保険金請求権については,

保険金支払条項に基づく履行期が到来した後である

平成14年11月5日付けで,

被上告人の代理人である弁護士から上告人に対し,

本件保険金請求についてはなお調査中であり,

その調査に上告人の協力を求める旨記載した本件協力依頼書が送付され,

その後1か月余り経過した同年12月11日付けで,

同弁護士から上告人に対し,上告人の調査への協力には感謝するが,

調査の結果,本件保険金請求には応じられないとの

結論に達した旨記載した

本件免責通知書が送付されたというのであるから,

本件協力依頼書の送付から本件免責通知書の送付までの間は,

被上告人が保険金を支払うことは考えられないし,

上告人も,調査に協力してその結果を

待っていたものと解されるので,

訴訟を提起するなどして

本件保険金請求権を行使することは考えられない。

 

そうすると,被上告人の代理人による本件協力依頼書の送付行為は,

上告人に対し,調査への協力を求めるとともに,

調査結果が出るまでは保険金の支払ができないことについて

了承を求めるもの,すなわち,保険金支払条項に基づく

履行期を調査結果が出るまで延期することを求めるものであり,

上告人は,調査に協力することにより,

これに応じたものと解するのが相当である。

 

したがって,本件保険金請求権の履行期は,合意によって,

本件免責通知書が上告人に到達した同月12日まで

延期されたものというべきである。

 

そして,本件保険契約に適用される前記普通保険約款によれば,

本件消滅時効の起算点は,保険金支払条項に基づく

履行期の翌日とされているものと解されるところ,

その履行期が同月12日まで延期されたのであるから,

本件消滅時効の起算点は翌13日となる。

 

上告人の上記主張は,

このような履行期延期の主張を含むものと解される。

 

以上によると,本件消滅時効は,

本件訴訟が提起された平成16年11月26日には,

いまだ完成していなかったものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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