信用金庫法38条

( 平成16年10月26日最高裁)

事件番号  平成14(受)973

 

この裁判では、

信用金庫の理事を信用金庫法38条所定の手続によることなく

解任することの可否について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

信用金庫は,会員の出資による協同組織の非営利法人であり(法1条),

会員は,当該信用金庫の地区内に住居又は

事業所を有する者(一定規模以上の事業者を除く。)及び

その地区内において勤労に従事する者で,

定款で定めるものに限られ(法10条),

加入及び持分の譲渡については

信用金庫の承諾を要し(法13条,15条),

会員が定款で定める事由に該当する場合には

総会の議決によって除名されること(法17条3項),

信用金庫は,預金等の受信業務は

会員以外の者からのものも行うことができるが,

貸出業務は原則として会員に対してのみ

行うことができるものとされていること(法53条),

会員は出資口数にかかわらず平等に

一箇の議決権を有すること(法12条)など,

会員を構成員とする協同組織体としての特色を有している。

 

法は,信用金庫が上記の特色を有する

協同組織の非営利法人であることから,

その役員(理事及び監事をいう。以下同じ。)の解任手続について,

法38条の規定を置き,次のとおり,

役員の地位の安定等に配慮した特別の手続を定めている。

 

すなわち,法38条は,役員の解任の請求は,

会員が総会員の5分の1以上の連署をもってすることができ,

その請求につき総会において出席者の過半数の同意があったときは,

その請求に係る役員は,その職を失うものとし(1項),

上記請求は,法令又は定款に違反したことを理由とする場合を除き,

理事の全員又は監事の全員について,

同時にしなければならないものとしている(2項)。

 

また,上記請求は,解任の理由を記載した書面を

信用金庫に提出してしなければならず,当該信用金庫は,

上記請求を議する総会の会日の7日前までに,

当該役員に対し上記書面を送付し,かつ,総会において

弁明する機会を与えなければならないものとしている(3項,4項)。

 

以上のとおり,法は,38条において,信用金庫の上記特色を考慮して,

信用金庫の役員解任の手続につき役員の地位の安定等に配慮した

特別の手続を定めていること,そして,39条において,

信用金庫の理事につき,商法の株式会社の取締役について

定めた規定を多数準用しているが,同条は,

取締役の解任手続を定めた商法257条の規定については,

上記特別の手続を定めた趣旨,目的を考慮して,

準用をしていないことにかんがみると,法は,

信用金庫の理事の解任は,法38条の規定に

よらなければならないとしているものと解するのが相当である。

 

そうすると,本件総代会決議1は,前記のとおり,

法38条の規定によらないで被上告人の理事会が提出した議案に

基づいてされたものであり,およそ理事解任の決議の対象とはなり得ない

議案についてされたものであるから,

その決議の内容が法令に違反しており,無効というべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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