借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」

(平成18年1月19日最高裁)

事件番号  平成17(オ)48

 

この裁判は、

登記に表示された所在地番及び床面積が実際と異なる建物が

借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」

に当たるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

建物保護に関する法律1条は,借地権者が借地上に

登記した建物を有するときに当該借地権の対抗力を認めていたが,

借地借家法(平成3年法律第90号)10条1項に

建物保護に関する法律1条と同内容の規定が設けられ,

同法は借地借家法附則2条により廃止された。

 

そして,同附則4条本文によれば,本件にも

同法10条1項が適用されるところ,同項は,

建物の所有を目的とする土地の借地権者が,

その土地の上に登記した建物を有するときは,

当該借地権の登記がなくともその借地権を

第三者に対抗することができるものとすることによって,

借地権者を保護しようとする規定である。

 

この趣旨に照らせば,借地上の建物について,

当初は所在地番が正しく登記されていたにもかかわらず,

登記官が職権で表示の変更の登記をするに際し

地番の表示を誤った結果,

所在地番の表示が実際の地番と相違することとなった場合には,

そのことゆえに借地人を不利益に取り扱うことは

相当ではないというべきである。

 

また,当初から誤った所在地番で登記がされた場合とは異なり,

登記官が職権で所在地番を変更するに際し

誤った表示をしたにすぎない場合には,

上記変更の前後における建物の同一性は登記簿上明らかであって,

上記の誤りは更正登記によって容易に是正し得るものと考えられる。

 

そうすると,このような建物登記については,

建物の構造,床面積等他の記載とあいまって

建物の同一性を認めることが困難であるような事情がない限り,

更正がされる前であっても借地借家法10条1項の対抗力を

否定すべき理由はないと考えられる。

 

これを本件についてみると,前記のとおり,

①Eが本件建物を取得した当時の本件建物登記の所在地番は

正しく表示されていたこと,

②本件登記における所在地番の相違は,

その後の職権による表示の変更の登記に際し登記官の過誤により

生じた可能性が高いことがうかがわれるのであり,また,

本件登記における建物の床面積の表示は,

新築当時の26.44㎡のままであって,

実際と相違していたが,前記事実関係に照らせば,

この相違は本件登記に表示された建物と本件建物等との間の

同一性を否定するようなものではないというべきである。

 

そして,現に,本件登記については,

その表示を現況に合致させるための

表示変更及び表示更正登記がされたというのである。

 

そうすると,Eが,本件土地の競売の基礎となった担保権の設定時である

昭和62年までに東側土地部分につき借地権を取得していたとすれば,

本件建物等は,借地借家法10条1項にいう

「登記されている建物」に該当する余地が十分にあるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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