借地借家法32条1項

(平成17年3月16日最高裁)

事件番号  平成14(し)18

 

最高裁判所の見解

借地借家法32条1項の規定は,強行法規であり,

賃料自動改定特約等の特約によってその適用を排除することは

できないものである(最高裁昭和28年(オ)第861号

同31年5月15日第三小法廷判決・民集10巻5号496頁,

最高裁昭和54年(オ)第593号同56年4月20日第二小法廷判決・

民集35巻3号656頁,最高裁平成14年(受)第689号

同15年6月12日第一小法廷判決・民集57巻6号595頁,

最高裁平成12年(受)第573号,第574号同15年10月21日

第三小法廷判決・民集57巻9号1213頁,

最高裁平成14年(受)第852号同15年10月23日

第一小法廷判決・裁判集民事211号253頁参照)。

 

そして,同項の規定に基づく賃料減額請求の当否及び

相当賃料額を判断するに当たっては,同項所定の

諸事情(租税等の負担の増減,土地建物価格の変動

その他の経済事情の変動,近傍同種の建物の賃料相場)のほか,

賃貸借契約の当事者が賃料額決定の要素とした事情

その他諸般の事情を総合的に考慮すべきである

(最高裁昭和43年(オ)第439号同44年9月25日

第一小法廷判決・裁判集民事96号625頁,

上記平成15年10月21日第三小法廷判決,

上記平成15年10月23日第一小法廷判決参照)。

 

前記事実関係によれば,本件建物は,

上告人の要望に沿って建築され,

これを大型スーパーストアの店舗以外の用途に転用することが

困難であるというのであって,本件賃貸借契約においては,

被上告人が将来にわたり安定した賃料収入を得ること等を

目的として本件特約が付され,

このような事情も考慮されて賃料額が

定められたものであることがうかがわれる。

 

しかしながら,本件賃貸借契約が

締結された経緯や賃料額が決定された経緯が

上記のようなものであったとしても,

本件賃貸借契約の基本的な内容は,

被上告人が上告人に対して本件建物を使用収益させ,

上告人が被上告人に対してその対価として賃料を支払うというもので,

通常の建物賃貸借契約と異なるものではない。

 

したがって,本件賃貸借契約について

賃料減額請求の当否を判断するに当たっては,

前記のとおり諸般の事情を総合的に考慮すべきであり,

賃借人の経営状態など特定の要素を基にした上で,

当初の合意賃料を維持することが公平を失し

信義に反するというような特段の事情が

あるか否かをみるなどの独自の基準を設けて,

これを判断することは許されないものというべきである。

 

原審は,上記特段の事情の有無で賃料減額請求の当否を判断すべきものとし,

専ら公租公課の上昇及び上告人の経営状態のみを参酌し,

土地建物の価格等の変動,近傍同種の建物の

賃料相場等賃料減額請求の当否の判断に際して

総合考慮すべき他の重要な事情を参酌しないまま,

上記特段の事情が認められないとして

賃料減額請求権の行使を否定したものであって,

その判断は借地借家法32条1項の解釈適用を

誤ったものというべきである。

 

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