健康保険法

( 平成17年9月8日最高裁)

事件番号  平成14(行ツ)36

 

最高裁判所の見解

1 医療法1条の3は,国及び地方公共団体は,

国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に

提供する体制が確保されるよう努めなければならない旨規定し,

同法30条の3は,都道府県は,当該都道府県における

医療計画(医療を提供する体制の確保に関する計画)を

定めること(同条1項),医療計画には,

主として病院の病床の整備を図るべき地域的単位として

区分する区域の設定に関する事項,

いわゆる一般病床に係る必要病床数等に関する事項などを

定めること(同条2項1号,3号)を規定している。

 

そして,同法30条の7は,都道府県知事は,

医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合には,

病院を開設しようとする者等に対し,

都道府県医療審議会の意見を聴いて,病院の開設等に関して

勧告を行うことができる旨規定している。

 

その趣旨は,病院の開設等の申請がされた際,

当該申請に係る病院の病床数等を医療計画に

適合する方向に誘導することにより,

良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を

確保するところにあると解される。

 

2 健康保険法1条ノ2は,健康保険制度については,

それが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ,

その在り方に関し常に検討を加え,医療保険の運営の効率化,

給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける

医療の質の向上を総合的に図りつつ実施されるべき旨を規定している。

 

同条が医療保険の運営の効率化に意を用いて

健康保険制度が実施されるべきこととしている趣旨に照らすと,

同法43条ノ3第2項が保険医療機関の指定を

拒否することができる要件として規定する

「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ

著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」には,

医療保険の運営の効率化という観点からみて

著しく不適当と認められる事由がある場合も

含まれると解するのが相当である。

 

3 ところで,原審の適法に確定したところによれば,

医療の分野においては,供給が需要を生む傾向があり,

人口当たりの病床数が増加すると1人当たりの入院費も

増大するという相関関係があるというのである。

 

そうすると,良質かつ適切な医療を効率的に提供するという

観点から定められた医療計画に照らし過剰な数となる病床を有する

病院を保険医療機関に指定すると,不必要又は過剰な医療費が発生し,

医療保険の運営の効率化を阻害する事態を

生じさせるおそれがあるということができる。

 

このような事情に照らすと,前記の事実関係の下において,

良質かつ適切な医療を効率的に提供するという観点からされた

本件勧告に従わずに開設された本件病院についての

保険医療機関指定の申請につき,医療保険の運営の効率化という観点から

「其ノ他保険医療機関若ハ保険薬局トシテ

著シク不適当ト認ムルモノナルトキ」

に当たるとしてされた本件処分は,

健康保険法43条ノ3第2項に違反するものとは認められない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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