債権差押命令

(平成21年7月14日最高裁)

事件番号  平成20(受)1134

 

この裁判では、

債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき

申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って

上記命令の申立てをした債権者が受けることのできる

配当額の計算の基礎とすべき債権額について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1) 金銭債権に対する強制執行は,

本来債務者に弁済すれば足りた第三債務者に対して,

差押えによって,債務者への弁済を禁じ,

差押債権者への弁済又は供託をする等の義務を課すものであるから

(民事執行法145条,147条,155条,156条参照),

手続上,第三債務者の負担にも配慮がされなければならない。

 

債権差押命令の申立書に記載する

請求債権中の遅延損害金を申立日までの

確定金額とすることを求める本件取扱いは,

法令上の根拠に基づくものではないが,

請求債権の金額を確定することによって,

第三債務者自らが請求債権中の遅延損害金の金額を計算しなければ,

差押債権者の取立てに応ずべき金額が分からないという事態が

生ずることのないようにするための配慮として,

合理性を有するものというべきである。

 

そして,元金及びこれに対する支払済みまでの

遅延損害金の支払を内容とする債務名義を有する債権者は,

本来,請求債権中の遅延損害金を元金の支払済みまでとする

債権差押命令の発令を求めることができ,

差押えが競合するなどして,

配当手続が実施されるに至ったときには,

計算書提出の有無を問わず,債務名義の金額に基づいて,

配当期日までの遅延損害金の額を配当額の計算の基礎となる

債権額に加えて計算された金額の配当

(以下「債務名義の金額に基づく配当」という。)

を受けることができるのであるから

(同法166条2項,85条1項,2項),

本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者は,

第三債務者の負担について上記のような配慮をする限度で,

請求債権中の遅延損害金を申立日までの

確定金額とすることを受け入れたものと解される。

 

そうすると,本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした

債権者であっても,差押えが競合したために

第三債務者が差押債権の全額に相当する金銭を供託し(同法156条2項),

供託金について配当手続が

実施される場合(同法166条1項1号)には,

もはや第三債務者の負担に配慮する必要はないのであるから,

通常は,債務名義の金額に基づく配当を求める

意思を有していると解するのが相当である。

 

したがって,本件取扱いに従って

債権差押命令の申立てをした債権者については,

計算書で請求債権中の遅延損害金を申立日までの確定金額として

配当を受けることを求める意思を明らかにしたなどの特段の事情のない限り,

配当手続において,債務名義の金額に基づく

配当を求める意思を有するものとして

取り扱われるべきであり,計算書提出の有無を問わず,

債務名義の金額に基づく配当を受けることができるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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