傷害致死罪の訴因の特定

(平成14年7月18日最高裁)

事件番号  平成13(あ)318

 

この裁判は、

暴行態様,傷害の内容,死因等の表示が概括的であっても

傷害致死罪の訴因の特定に欠けるところはないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

上告趣意のうち,訴因変更手続に関して判例違反をいう点は,

原判決の認定に沿わない事実関係を前提とするものであるか,

あるいは,所論引用の判例が所論の

主張するような趣旨を示したものではないから,

前提を欠き,その余は,判例違反をいう点を含め,

実質は事実誤認の主張であって,

いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 

なお,所論にかんがみ,原審において検察官が

予備的に追加請求して第7回公判期日に許可された

第1次予備的訴因の特定について,職権で判断する。

 

第1次予備的訴因は,「被告人は,単独又はB及びCと共謀の上,

平成9年9月30日午後8時30分ころ,

福岡市中央区所在のビジネス旅館Ab階c号室において,

被害者に対し,その頭部等に手段不明の暴行を加え,

頭蓋冠,頭蓋底骨折等の傷害を負わせ,よって,そのころ,

同所において,頭蓋冠,頭蓋底骨折に基づく

外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」

という傷害致死の訴因であり,

単独犯と共同正犯のいずれであるかという点については,

択一的に訴因変更請求がされたと解されるものである。

 

原判決によれば,第1次予備的訴因が追加された当時の証拠関係に照らすと,

被害者に致死的な暴行が加えられたことは明らかであるものの,

暴行態様や傷害の内容,死因等については十分な供述等が得られず,

不明瞭な領域が残っていたというのである。

 

そうすると,第1次予備的訴因は,暴行態様,傷害の内容,

死因等の表示が概括的なものであるにとどまるが,

検察官において,当時の証拠に基づき,できる限り

日時,場所,方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して

訴因を明示したものと認められるから,

訴因の特定に欠けるところはないというべきである。

したがって,これと同旨の原判決の判断は正当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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