免責の効力を受ける破産債権に基づく詐害行為取消権行使の許否
(平成9年2月25日最高裁)
事件番号 平成8(オ)1430
最高裁判所の見解
詐害行為取消権は、債務者の責任財産を確保し
将来の強制執行を保全するために債権者に認められた権利であるところ、
原審の適法に確定した事実関係の下においては、
Dが上告人に対する本件連帯保証債務につき
破産法第三編第一章の規定による免責決定を受けて
これが確定したことにより、
上告人のDに対する右連帯保証債務履行請求権は、
訴えをもって履行を請求しその強制的実現を
図ることができなくなったものであり(破産法三六六条ノ一二参照)、
その結果詐害行為取消権行使の
前提を欠くに至ったものと解すべきであるから、
上告人において、Dが自己破産の申立て前にした財産処分行為につき、
右債権に基づき詐害行為取消権を行使することは
許されないと解するのが相当である。
これと同旨の見解に立って上告人の本訴請求を
棄却すべきものとした原審の判断は、
正当として是認することができる。
右判断は、所論引用の判例に抵触するものではなく、
原判決に所論の違法はない。論旨は、
右と異なる見解に立って原判決を論難するものであり、
採用することができない。
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