公文書非公開決定処分取消

(平成7年2月24日最高裁)

事件番号  平成5(行ツ)56

 

最高裁判所の見解

1 規正法二一条二項は、何人も、

収支報告書の要旨が公表された日から三年間、

自治大臣の場合にあっては自治省令の定めるところにより、

都道府県の選挙管理委員会の場合にあっては

当該選挙管理委員会の定めるところにより、

収支報告書の閲覧を請求することができる旨を定めているが、

収支報告書の写しの交付の可否については

何らの規定を置いていない。

 

そして、一般に「閲覧」の中に「写しの交付」が

含まれると解するのは困難であること、

他の法令上、謄本、抄本の交付、謄写等が認められる場合には

その旨が明記されていること等にかんがみると、

規正法は、写しの交付を権利として

保障しているものでないことは明らかである。

 

2 他方、本件条例九条には、

同条各号所定の情報が記録されている公文書は

公開してはならない旨が規定され、その三号には

「法律又はこれに基づく政令の規定により

知事その他の執行機関の権限に属する国等の事務に関して、

主務大臣等から公にしてはならない旨の

明示の指示がある情報」が掲げられている。

 

右にいう「法律又はこれに基づく政令の規定により

知事その他の執行機関の権限に属する国等の事務」が、

国等からの委任により大委員会に対し、

収支報告書の公開に関する指示をすることができる。

 

そして、自治大臣は、その権限に属する特定範囲の事項について、

補助機関に代理権を授与することができるのであり、

自治省組織令二三条によれば、

「規正法に基づく自治大臣の権限の行使に関すること」は

自治省選挙部政治資金課の所掌事務とされており、

一方、自治省文書決裁規程(昭和三九年自治省訓令第八号)二条

(別表1共通事務66)は、

法令の質疑、解釈に対する回答の決裁権者・

文書施行名義者を課長と定めているのであるから、

自治省選挙部政治資金課長は、右訓令の定めによって、

自治大臣から、規正法の執行に関し

都道府県の選挙管理委員会を指揮監督する上で

必要となる規正法の質疑、解釈についての回答の

決裁・発出に関する代理権を授与されているものということができる。

 

4 そうすると、前記事実関係の下において、

本件質疑集(二)は、機関委任事務の主務大臣である

自治大臣から代理権を授与された自治省選挙部政治資金課長により

上告人に対して発せられたものであり、

その体裁の当否はさておき、その内容において

明確さを欠くとはいえないから、その送付は、

本件条例九条三号にいう

「主務大臣等から公にしてはならない旨の明示の指示」

に当たるものというべきである。

 

5 以上によれば、本件条例九条三号に基づき、

被上告人に対して、本件請求文書の写しの交付を

認めないものとした本件処分に違法はなく、

これと異なる見解に立って被上告人の本訴請求を認容した原判決は、

本件条例九条三号の解釈適用を誤ったものというべきであり、

その違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、

論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

 

そして、原審の適法に確定した前記の事実関係及び

右に判示したところによれば、被上告人の

本訴請求は理由がなく、これと同旨の第一審判決は正当であって、

被上告人の控訴は棄却すべきものである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク