公文書非開示処分取消請求事件

(平成15年6月10日最高裁)

事件番号  平成13(行ヒ)106

 

最高裁判所の見解

(1) 本件条例2条1項にいう「管理」は,

同条2項に掲げられた各実施機関がその主体であると構成されていることからみても,

当該公文書を現実に支配,管理していることを意味するものと解すべきである。

 

そして,実施機関が請求に係る公文書を現実に支配,管理しているかどうかは,

当該地方公共団体における保存の根拠規定,

保存に至る手続,保存の方法等の実態を踏まえて

判断すべきである(最高裁平成11年(行ヒ)第221号

同13年12月14日第二小法廷判決・民集55巻7号1567頁参照)。

 

(2) 本件規則131条2項は,保存の主体について規定しておらず,

別に定める文書管理の方法によるものとしているのであるから,

同条1項の「編集」の主体が出納長及び出納員であるからといって,

直ちに同条2項が出納長及び出納員において

文書を管理すべき旨を定めた規定であると断ずることはできない。

 

そして,原審の確定した事実によれば,

福岡県財務規則運用要綱131条関係4項は,

本件規則131条2項の「別に定める文書管理の方法」とは,

福岡県文書管理規程,福岡県教育庁文書管理規程等を

指すものとしているというのであり,このことにかんがみると,

同項は,収入及び支出に係る証拠書類の文書管理の方法を

福岡県文書管理規程,福岡県警察文書規程,

福岡県議会事務局規程等の定めるところにゆだねたものと解され,

その「文書管理の方法」には文書の保存の

主体の点も含むものと解するのが相当である。

なお,本件規則93条2項は,出納長が支出をするために必要な

確認をすることができない場合の手続を定めたものにすぎないから,

本件規則中に支出後の支出証拠書類の返還ないし

送付を定めた規定が存在しないからといって,

支出後も出納長が支出証拠書類を管理することが

予定されていると解すべきことにはならない。

 

ところで,原審の確定した事実によれば,

県警察における文書の取扱い等を定めた福岡県警察文書規程は,

71条において,「文書は,常に未完結文書及び完結文書に区分して,

別記第5の要領で整理し,事務に支障がないようにしておかなければならない。」と規定し,

別記第5の文書分類表において,大分類「E財務」・中分類「E3県費出納」・

小分類「E32支出」・細分類「E32-1一般支出」の

例示書類として「支出証拠書類」を挙げているというのであるから,

県警察本部の支出証拠書類については,県警察本部において

保存することが予定されているものと解するのが相当である。

 

また,県議会における文書の取扱いについては,

福岡県議会事務局規程の規定を検討する必要があるが,

原審は,本件には平成9年議会公示第1号による

改正前の同規程が適用されるにもかかわらず,

同改正後の同規程の規定しか検討していない。

 

そして,本件各処分当時の福岡県文書管理規程

(昭和61年福岡県訓令第1号。

平成10年福岡県訓令第18号による改正前のもの)が,

知事部局の文書管理について,56条1項において,

「所属長(本庁の課長等)は,文書を分類整理するため,

文書分類表(様式第13号)を定めなければならない。」と,

同条3項において,「前2項に定めるもののほか,

文書分類表の作成及びその取扱いについて必要な事項は,別に定める。」と,

60条1号において,

「前会計年度及び現会計年度(暦年ごとに区分するものにあっては,

前年及び現年)の完結文書」については,

「主務課において保管するものとする。」と規定しており,

これを受けて福岡県総務部長が平成6年4月1日付けで発した

「文書分類表の作成及びその取扱い並びに共通文書の保存期間について(通達)」が,

別表第3(共通文書分類区分表)において,

出納事務局主管に属する文書で出納事務局以外の所属(本庁の課及び出先機関)で

保存する文書として,旅費請求票,旅費支給明細票,

旅費請求内訳票,支出負担行為決議書,支出負担行為決議書兼支出命令書,

支出命令書,支出決定確認票,精算書

その他の支出証拠書類等を挙げていることは,

記録上明らかである。

 

これらの規定等に照らせば,本件規則131条が,

出納長及び出納員が支出証拠書類を管理すべき旨を定めていると

解することはできず,本件各文書が上告人の管理するものであるかどうかは,

福岡県文書管理規程,福岡県警察文書規程,福岡県議会事務局規程等の

定める文書管理に関する規定,本件各処分当時における

本件各文書の保存の実態等を検討した上で判断すべきものである。

 

ところが,原審は,本件各処分当時における福岡県文書管理規程や

福岡県議会事務局規程等の規定の内容,本件移管が行われた時期等について

審理判断しないまま,前記の結論を導いている。

 

そして,仮に本件各処分前に本件移管が行われていたというのであれば,

本件文書1及び2は,県警察本部が福岡県警察文書規程の規定に基づいて

現実に支配,管理している文書であると解され,

本件文書3及び4についても,県議会が同様に

現実に支配,管理していると解される余地があるし,

仮に本件各処分時にはいまだ本件移管は行われていなかったとしても,

支出証拠書類を保存すべきものとされている県警察本部等のために

出納事務局が本件各文書を所持していたにすぎないとみる余地がある

(なお,原審は,県警察本部会計課ないし

県議会事務局総務課に置かれた出納員ないし経理員が

知事部局の職員に併任されていることを理由に,

本件移管後も上告人が本件各文書を

管理していると解すべきであるとしているが,

本件規則6条によれば,出納員は,出納長の事務のうち物品の

出納保管等のごく限られた事務について出納長を

補助するものとされているにすぎず,出納員ないし

経理員の支出証拠書類の保存,管理権限を定めた規定も存在しないから,

原審の上記判断も,是認することができない。)。

 

したがって,原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,

この点をいう論旨は理由がある。

 

以上によれば,原判決は破棄を免れず,本件については,

上記の点につき更に審理を尽くした上,

本件各文書が本件条例2条1項にいう実施機関が

管理している文書に当たるか否かを判断すべきであるから,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

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