公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性

(平成18年10月4日最高裁)

事件番号  平成17(行ツ)247

 

この裁判では、

公職選挙法(平成18年法律第52号による改正前のもの)14条,

別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

投票価値の平等の重要性を考慮すると,

選挙区間における選挙人の投票価値の不平等の是正については,

国会において不断の努力をすることが望まれる。

 

もっとも,これをどのような形で実現するかについては,

種々の政策的又は技術的な考慮要素が存在する。

 

参議院議員選挙法制定当時,

既に選挙区間における議員1人当たりの人口には

最大1対2.62の較差が生じていた上,

上告人ら自身の試案によっても,参議院(選挙区選出)議員の選挙について

公職選挙法が採用した2人を最小限として偶数の定数配分を

基本とする前記のような選挙制度の仕組みに従い,

平成12年10月実施の国勢調査結果による人口に基づいていわゆる

最大剰余方式により各選挙区の人口に比例した

議員定数の再配分を試みた場合には,

選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差は

1対4.87となるというのであるから,

前記のような選挙制度の仕組みの下では,

選挙区間における議員1人当たりの

選挙人数の較差の是正を図ることが容易でないことは明らかである。

 

ところで,平成16年大法廷判決は,

本件改正によっても前記のような較差が残り,また,

前回選挙当時において選挙区間における

議員1人当たりの選挙人数の最大較差が

1対5.06となっていたという状況の下で,

結論として本件定数配分規定は違憲とはいえない旨の判断をしたところ,

本件選挙当時において生じていた上記の最大較差は

1対5.13であって,前回選挙当時のそれと大きく異なるものではなかった。

 

そして,前記のとおり,平成16年大法廷判決の言渡しから

本件選挙までの期間は約6か月にすぎず,

選挙区間の選挙人の投票価値の不平等を

是正する措置を講ずるための期間として

必ずしも十分なものではなかったところ,その間,

参議院では,平成16年大法廷判決の言渡しの直後である

平成16年2月6日に各会派代表者懇談会の下に

協議会を設けて定数較差の是正についての議論を行い,

同懇談会において,同年6月1日,同年7月に

施行される本件選挙までの間に是正を行うことは

困難であることなどから,本件選挙後,次回選挙に向けて,

定数較差問題について結論を得るように協議を

再開する旨を申し合わせたというのである。

 

さらに,これを受けて,本件選挙後,参議院議長は

同年12月1日に参議院改革協議会の下に

選挙制度に係る専門委員会を設け,

同委員会において,平成17年2月から

同年10月まで9回の会合が開かれ,

各種の是正案が具体的に検討され,

その中で有力な意見であったとされるいわゆる4増4減案に基づく

公職選挙法の一部を改正する法律案が国会に提出され,

平成18年6月1日に成立した

(同月7日公布。平成18年法律第52号)。

 

同改正の結果,平成17年10月実施の国勢調査結果の速報値による

人口に基づく選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差が

1対4.84に縮小することは当裁判所に顕著である。

 

これらの事情を考慮すると,本件選挙までの間に

本件定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の

限界を超えたものと断ずることはできず,したがって,

本件選挙当時において,本件定数配分規定が憲法に

違反するに至っていたものとすることはできない。

 

なお,上記の公職選挙法改正は,上記の専門委員会において,

平成16年大法廷判決の多数意見の中に従来とは異なる厳しい姿勢が

示されているという認識の下に,これを重く受け止めて

検討された案に基づくものであることがうかがわれるところ,

そのような経緯で行われた上記の改正は評価すべきものであるが,

投票価値の平等の重要性を考慮すると,今後も,

国会においては,人口の偏在傾向が続く中で,

これまでの制度の枠組みの見直しをも含め,

選挙区間における選挙人の投票価値の較差をより

縮小するための検討を継続することが,

憲法の趣旨にそうものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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