公職選挙法15条1項,公職選挙法15条2項,公職選挙法15条8項,公職選挙法271条2項

(平成11年1月22日最高裁)

事件番号  平成10(行ツ)199

 

最高裁判所の見解

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、

民訴法三一二条一項又は二項所定の場合に限られるところ、

本件上告理由は、違憲をいうが、その実質は原判決に

公職選挙法二七一条二項、一五条二項、八項の解釈の誤りが

あることを主張するものであって、

民訴法三一二条一項及び二項に規定する事由に該当しない。

 

なお、原審の適法に確定したところによれば、東京都議会は、

平成九年七月六日施行の

東京都議会議員の選挙(以下「本件選挙」という。)に先立ち、

同八年六月二六日、最近の国勢調査である

同七年一〇月実施の国勢調査による人口に基づき、

東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における

議員の数に関する条例(昭和四四年東京都条例第五五号。以下「本件条例」という。)の

一部改正(以下「本件改正」という。)をしたが、

右国勢調査結果に基づく千代田区選挙区の人口を

議員一人当たりの人口で除して得た数(以下「配当基数」という。)は

〇・三七五であって、東京都議会は、本件改正に当たり、

千代田区が我が国の政治的、経済的中枢として担っている

独自の意義、役割及び特別区制度における地域代表としての

議員の必要性等を考慮して、これを公職選挙法二七一条二項に基づく

いわゆる特例選挙区として存置することにしたというのである。

 

千代田区選挙区の右配当基数は

いまだ特例選挙区の設置が許されない程度には

至っておらず、他に、東京都議会が、

本件改正後の本件条例において千代田区選挙区を特例選挙区として

存置したことが社会通念上著しく

不合理であることが明らかであると認めるべき

事情もうかがわれない。

 

したがって、同議会が同選挙区を特例選挙区として存置したことは、

同議会に与えられた裁量権の合理的な行使として是認することができるから、

本件改正後の本件条例が千代田区選挙区を特例選挙区として

存置したことは適法である。

 

そして、原審の適法に確定したところによれば、

右国勢調査による人口に基づく特例選挙区を除いた

その他の選挙区間における議員一人当たりの人口の最大較差は

一対二・一五、特例選挙区とその他の選挙区間における右最大較差は

一対三・九五であって、いわゆる逆転現象は二〇通りあるが、

定数二人の顕著な逆転現象は二通りのみであり、

右国勢調査による人口に基づく各選挙区の配当基数に応じて

定数を配分した人口比定数(公職選挙法一五条八項本文の

人口比例原則に基づいて配分した定数)による議員一人当たりの人口の最大較差は、

特例選挙区を除くその他の選挙区間においても、

特例選挙区とその他の選挙区間においても、

本件条例の下における右の較差と同一の値となるというのである。

公職選挙法が定める都道府県議会の議員の選挙制度の下においては、

本件選挙当時における右のような投票価値の不平等は、

東京都議会において地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素を

しんしゃくしてもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に

達していたものとはいえず、同議会に与えられた

裁量権の合理的な行使として是認することができる。

 

したがって、本件改正後の本件条例に係る定数配分規定は、

公職選挙法一五条八項に違反するものではなく、

適法というべきある。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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