公職選挙法251条の2第1項5号,公職選挙法251条の2第2項,憲法15条1項,憲法31条

( 平成10年11月17日最高裁)

事件番号  平成10(行ツ)215

 

最高裁判所の見解

公職選挙法二五一条の二第一項五号の規定は、

いわゆる連座の対象者を総括主宰者、出納責任者、

地域主宰者及び公職の候補者の親族に限りその効果を

当選無効としていた従来の連座制では選挙犯罪を

十分に抑制することができなかったという

我が国における選挙の実態にかんがみ、連座の対象者として

公職の候補者等の秘書を加え、連座の効果に立候補の禁止を加えて、

連座の範囲及び効果を拡大し、

秘書が所定の悪質な選挙犯罪を犯した場合に、

当該候補者等の当選無効等の効果を発生させることにより、

選挙の公明、適正を実現するという目的で設けられたものと解される。

 

このように、右規定は、民主主義の根幹をなす

公職選挙の公明かつ適正を確保するという極めて

重要な法益を実現するために設けられたものであって、

その立法趣旨は合理的である。

 

また、同号所定の秘書は、公職の候補者等に使用される者で

当該公職の候補者等の政治活動を

補佐するものをいうと明確に定義されており、

右規定は、公職の候補者等と右のような一定の関係を有する者が

公職の候補者等又は総括主宰者等と意思を通じて

選挙運動をし所定の選挙犯罪を犯して

禁錮以上の刑に処せられたときに限って

連座の効果を生じさせることとしており、

立候補禁止の期間及びその対象となる選挙の範囲も限定し、

さらに、同条四項において、選挙犯罪がいわゆるおとり行為又は

寝返り行為によってされた場合には立候補の禁止及び

衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当成するための手段として

必要かつ合理的なものというべきである。秘書又はこれに

類似する名称を使用する者を同条一項五号所定の秘書と

推定する同条二項の規定が設けられているが、

右規定の適用のためには、右名称を使用することを

公職の候補者等が承諾又は容認していることが要件とされている上、

当該候補者等は、同条一項五号所定の秘書の定義に

該当しないことを立証して、

その適用を排除することができるのであるから、

同条二項も、前記判断を左右するものではない。

 

したがって、同条一項五号及び同条二項の規定は、

憲法一五条一項、三一条に違反しない。

 

以上のように解すべきことは、

最高裁昭和三六年(オ)第一〇二七号

同三七年三月一四日大法廷判決・民集一六巻三号五三〇頁、

最高裁昭和三六年(オ)第一一〇六号同三七年三月一四日大法廷判決・

民集一六巻三号五三七頁及び最高裁昭和二九年(あ)

第四三九号同三〇年二月九日大法廷判決・

刑集九巻二号二一七頁の趣旨に徴して明らかである

(最高裁平成八年(行ツ)第一一七号同年七月一八日第一小法廷判決・

裁判集民事一七九号七三九頁参照)。

 

原審の判断は、右と同旨をいうものとして是認することができる。

 

所論は、公職選挙法二五一条の二第一項五号所定の

秘書に当たるというためには、

その者が、単に当該候補者等の

政治活動を補佐するというだけでは足りず、

その重要部分を補佐しており、かつ、

右補佐の対象が選挙運動とは区別される政治活動で

あることを要するなどと主張するが、

前記の立法趣旨及び同号の規定の文言に徴し、

同号所定の秘書を所論のように限定的に解すべき理由はなく、また、

同号を違憲としないためにこのような限定解釈を要するものではない。

 

同号所定の秘書の定義が漠然としていて、

検察官によるし意的な訴訟の提起を可能とするものということはできず、

この点に関する所論違憲の主張は、その前提を欠くものといわざるを得ない。

 

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