公金の支出の社会通念上儀礼の範囲
(平成15年3月27日最高裁)
事件番号 平成14(行ヒ)46
普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,
記念行事等に際して来賓等に記念品等の贈呈を行うことは,
それが社会通念上儀礼の範囲にとどまる限り,
許されるというべきである
(最高裁昭和38年(オ)第49号同39年7月14日
第三小法廷判決・民集18巻6号1133頁参照)。
本件についてこれをみると,本件記念品は,
町が開催した新庁舎竣工式において,
新庁舎の完成を祝すとともに,その建設に尽力するなどした
来賓に対する感謝の意を表する趣旨で贈呈されたというのであるところ,
① 来賓148人は,いずれも新庁舎の建設に尽力した,
長年にわたり町に貢献してきた,町民を代表する立場又は
町と関係の深い自治体等の役職にあるなどの
事情から竣工式に招待された者であった,
② 本件記念品は,5000円相当の商品券ではあるが,
町商工会が発行し,町内の商店のみで利用することができるものであり,
本件記念品の贈呈のために支出された費用は
合計74万円にとどまったというのであるから,
原審認定に係る町の人口等をも勘案すれば,
本件記念品の贈呈が社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものとまでいうことはできない。
そうすると,本件記念品贈呈のために上告人が
その購入費用の支出を命じたことを違法であるということはできず,
これを違法とした原審の判断には,
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある。
この点をいう論旨には理由がある。
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