共同抵当の目的となった数個の不動産の代価を同時に配当すべき場合

(平成14年10月22日最高裁)

事件番号  平成13(受)1567

 

最高裁判所の見解

(1) 競売申立書に明白な誤記,計算違いがある場合には,

その後の手続においてこれを是正することが

許されるものと解すべきであり,

これを一部請求の趣旨と解することは相当でない。

 

本件では債権計算書においてその是正がされているところ,

配当異議の訴えは実体法上の権利に基づき配当表の変更,取消しを

求めるものであり(民事執行法90条4項),

配当表を是正するためには,配当表の誤記が執行裁判所の責めに

帰すべき事由により生じたことを要するものではない。

 

そして,前記事実関係によれば,

上告人の提出した競売申立書に記載された確定損害金1及び同2の

金額には明白な計算違いがあり,正しい計算結果は上告人が

提出した債権計算書に記載されたものであるから,

上告人の被担保債権額は8489万0710円となる。

 

(2) 共同抵当とは債権者が同一の債権の担保として

数個の不動産の上に抵当権を有する場合をいい(民法392条1項),

各不動産上の抵当権はそれぞれ債権の全額を担保するものであるから,

共同抵当権者は一部の不動産上の同順位抵当権者に対しても,

その被担保債権全額を主張することができる。

 

もっとも,債権者が任意の不動産の価額から

被担保債権の全部又は一部の回収を図ることを許し,

何らの調整を施さないときは,共同抵当の関係にある

各抵当不動産上の後順位債権者等に不公平な結果をもたらすことになる。

そこで,民法392条1項は,共同抵当の目的である

複数の不動産の代価を同時に配当する場合には,

共同抵当権者が優先弁済請求権を主張することのできる

各不動産の価額(当該共同抵当権者が把握した担保価値)に準じて

被担保債権の負担を分けることとしたものであり,

この負担を分ける前提となる不動産の価額中には

他の債権者が共同抵当権者に対し優先弁済請求権を

主張することのできる不動産の価額(他の債権者が把握した担保価値)

を含むものではない。

 

そうすると,共同抵当の目的となった

数個の不動産の代価を同時に配当すべき場合に,

1個の不動産上にその共同抵当に係る抵当権と

同順位の他の抵当権が存するときは,

まず,当該1個の不動産の不動産価額を同順位の各抵当権の

被担保債権額の割合に従って案分し,各抵当権により

優先弁済請求権を主張することのできる不動産の

価額(各抵当権者が把握した担保価値)を算定し,次に,

民法392条1項に従い,共同抵当権者への案分額及び

その余の不動産の価額に準じて共同抵当の

被担保債権の負担を分けるべきものである。

 

これと異なる原審の計算方法は,共同抵当の目的となる不動産上の

同順位者に対して,共同抵当に係る被担保債権全額を主張することを認めず,

共同抵当に係る数個の不動産の代価の同時配当における

負担分割の基礎となる不動産の価額中に同順位者が

優先弁済請求権を主張することができる金額(同順位者が把握した担保価値)を

含ませる結果となるものであって,採用することができない。

 

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