共有物分割

(平成10年2月27日最高裁)

事件番号  平成7(オ)1684

 

最高裁判所の見解

1 共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、

現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に

当該超過分の対価を支払わせ、過不足を調整することができるが

(最高裁昭和五九年(オ)第八〇五号同六二年四月二二日大法廷判決・

民集四一巻三号四〇八頁参照)、

これにとどまらず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、

共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の

経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の

有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの

特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、

その価格が適正に評価され、

当該共有物を取得する者に支払能力があって、

他の共有者にはその持分の対価を取得させることとしても

共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情があるときは、

共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、

これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる

全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである

(最高裁平成三年(オ)第一三八〇号同八年一〇月三一日第一小法廷判決・

民集五〇巻九号二五六三頁、最高裁平成七年(オ)第二四六一号同九年四月二五日

第二小法廷判決・裁判集民事一八三号三六五頁参照)。

 

2 これを本件についてみるのに、前記一の事実関係等によれば、

本件不動産は、亡Dの相続人間の協議により法定相続分の割合に応じた

共有とする遺産分割がされたものであって、

その形状等から現物分割は不可能である上、上告人Aが

今後も本件不動産に居住することを希望しており、

上告人らにおいて、本件不動産を競売に付することなく、

上告人Aが単独であるいは他の上告人らとともに亡Fの持分につき

対価を支払ってこれを取得する方法による分割を

提案していることなどにかんがみると、

本件不動産についての被上告人らの持分を

上告人A単独ないし上告人らの取得とすることが相当でないとはいえないし、

上告人らの支払能力のいかんによっては、

被上告人らにその持分の対価を取得させることとしても、

共有者間の実質的公平を害することにはならないものと考えられる。

 

四 そうすると、本件について、全面的価格賠償の方法により

共有物を分割することの許される特段の事情の存否について

審理判断することなく、直ちに競売による分割をすべきものとした

原審の判断には、民法二五八条の解釈適用の誤り、

ひいては審理不尽の違法があるというべきであり、

この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

この点をいう論旨は理由があるから、原判決は破棄を免れず、

前記説示に従い更に審理を尽くさせるため、

本件を原審に差し戻すこととする。

 

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