共有者の一部の者から共有物の占有使用を承認された第三者に対するその余の共有者からの明渡請求の可否
(昭和63年5月20日最高裁)
事件番号 昭和62(オ)53
最高裁判所の見解
共同相続に基づく共有者は、他の共有者との協議を経ないで
当然に共有物を単独で占有する権原を有するものではないが、
自己の持分に基づいて共有物を占有する権原を有するので、
他のすべての共有者らは、右の自己の持分に基づいて
現に共有物を占有する共有者に対して当然には共有物の明渡しを
請求することはできないところ
(最高裁昭和三八年(オ)第一〇二一号同四一年五月一九日第一小法廷判決・
民集二〇巻五号九四七頁参照)、この理は、
共有者の一部の者から共有物を占有使用することを
承認された第三者とその余の共有者との関係にも妥当し、
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで
共有物を占有使用することを承認された第三者は、
その者の占有使用を承認しなかつた共有者に対して
共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、
現にする占有がこれを承認した
共有者の持分に基づくものと認められる限度で
共有物を占有使用する権原を有するので、
第三者の占有使用を承認しなかつた共有者は
右第三者に対して当然には共有物の明渡しを
請求することはできないと解するのが相当である。
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