内閣官房長官の職務権限
(平成11年10月20日最高裁)
事件番号 平成9(あ)416
最高裁判所の見解
記録を精査しても、本件につき
受託収賄罪が成立するとした原判決に、
事実誤認、法令違反があるとは認められない。
なお、原判決の認定によれば、被告人は、内閣官房長官として、
株式会社リクルートの代表取締役であるAらから、
国の行政機関が国家公務員の採用に関し民間企業における
就職協定の趣旨に沿った適切な対応をするよう
尽力願いたい旨の請託を受け、賄賂を収受したというのである。
内閣官房長官は、内閣法一三条三項により、
「内閣官房の事務を統轄」するものとされ、
内閣官房は、同法一二条二項により、
「閣議に係る重要事項に関する総合調整
その他行政各部の施策に関する
その統一保持上必要な総合調整に関する事務を掌る」
ものとされているところ、前記請託の内容は、
国家公務員の採用という国の行政機関全体にわたる事項について
適切な措置を採ることを求めるものであって、
内閣官房の所掌する右事務に当たり、
内閣官房長官の職務権限に属するということができるから、
これと同旨の原判決の判断は、正当である。
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