処断刑超過による非常上告
(平成14年4月16日最高裁)
事件番号 平成13(さ)3
最高裁判所の見解
新見簡易裁判所は,平成13年8月28日,
「被告人は,公安委員会の運転免許を受けず,かつ,酒気を帯び,
呼気1㍑につき0.25mg以上のアルコールを身体に保有する状態で,
平成13年6月11日午後10時56分ころ,
岡山県新見市ab北方約200m付近道路において,
普通乗用自動車を運転した」との事実を認定した上,
道路交通法118条1項1号,64条,119条1項7号の2,
65条1項,同法施行令44条の3,
刑法54条1項前段その他の関係法令を適用し,
被告人を罰金12万円に処する旨の略式命令を発し,
この命令は平成13年9月14日確定した。
しかし,道路交通法118条1項1号の罪の法定刑は
「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」,
同法119条1項7号の2の罪のそれは
「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」であるところ,
原略式命令が被告人の所為は1個の行為が
2個以上の罪名に触れる場合に当たるものとして
刑法54条1項前段を適用したのは正当であるから,
本件については,重い道路交通法118条1項1号の罪の刑で処断すべきであり,
罰金刑を選択した場合には,その処断刑の多額は10万円となる。
したがって,これを超過して被告人を罰金12万円に処した
原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益である。
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