出入国管理及び難民認定法の規定する「日本人の配偶者等」の在留資格取得の要件

(平成14年10月17日最高裁)

事件番号  平成11(行ヒ)46

 

最高裁判所の見解

(1) 出入国管理及び難民認定法は,

本邦に在留する外国人の在留資格は,

法別表第一又は第二の上欄に掲げるとおりとした上,

別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は,

当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の

下欄に掲げる活動を行うことができ,

別表第二の上欄の在留資格をもって在留する者は,

当該在留資格に応じそれぞれ本邦において

同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての

活動を行うことができるとし(2条の2第2項),また,

入国審査官が行う上陸のための審査においては,

外国人の申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく,

別表第一の下欄に掲げる活動又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは

地位を有する者としての活動のいずれかに該当することを

審査すべきものとしている(7条1項2号)。

 

これらによれば,法は,個々の外国人が

本邦において行おうとする活動に

着目し,一定の活動を行おうとする者のみに対して

その活動内容に応じた在留資格を取得させ,

本邦への上陸及び在留を認めることとしているのであり,

外国人が「日本人の配偶者」の身分を有する者として

別表第二所定の「日本人の配偶者等」の在留資格をもって

本邦に在留するためには,単にその日本人配偶者との間に

法律上有効な婚姻関係にあるだけでは足りず,

当該外国人が本邦において行おうとする活動が

日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動に該当することを要するものと解するのが相当である。

 

(2) 日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動を行おうとする外国人が「日本人の配偶者等」の

在留資格を取得することができるものとされているのは,

当該外国人が,日本人との間に,

両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真しな意思をもって

共同生活を営むことを本質とする婚姻という

特別な身分関係を有する者として

本邦において活動しようとすることに基づくものと解される。

 

ところで,婚姻関係が法律上存続している場合であっても,

夫婦の一方又は双方が既に上記の意思を確定的に喪失するとともに,

夫婦としての共同生活の実体を欠くようになり,

その回復の見込みが全くない状態に至ったときは,

当該婚姻はもはや社会生活上の実質的基礎を

失っているものというべきである

(最高裁昭和61年(オ)第260号同62年9月2日大法廷判決・

民集41巻6号1423頁参照)。

 

そして,日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動を行おうとする外国人が

「日本人の配偶者等」の在留資格を

取得することができるものとされている趣旨に照らせば,

日本人との間に婚姻関係が法律上存続している外国人であっても,

その婚姻関係が社会生活上の実質的基礎を失っている場合には,

その者の活動は日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動に該当するということはできないと解するのが相当である。

 

そうすると,上記のような外国人は,「日本人の配偶者等」の

在留資格取得の要件を備えているということができない。

 

なお,日本人の配偶者の身分を有する者としての

活動に該当するかどうかを決するに際しては,

婚姻関係が社会生活上の実質的基礎を失っているかどうかの判断は

客観的に行われるべきものであり,

有責配偶者からの離婚請求が身分法秩序の観点から

信義則上制約されることがあるとしても,

そのことは上記判断を左右する事由にはなり得ないものというべきである。

 

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