出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反被告事件

(平成11年7月6日最高裁)

事件番号  平成8(あ)619

 

最高裁判所の見解

出資の受入れ、預り金及び金利等の

取締りに関する法律(以下「出資法」という。)三条が、

金融機関の役員、職員その他の従業者に対して、その地位を利用し、

自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、

金銭の貸付け、金銭の貸借の媒介又は債務の保証をすることを禁止している趣旨は、

そのような行為が、当該金融機関の信用を失墜させ、

ひいては一般預金者大衆に不慮の損害を被らせるおそれがあるため、

これを取り締まろうとする点にあると考えられる。

 

このような同条の立法趣旨等にかんがみると、

ここにいう金銭の貸付け、金銭の貸借の媒介又は債務の保証は、

金融機関の役職員等が、その業務の遂行としてではなく、

自己の責任と計算において行うもので

あることを要するものと解すべきである。

 

被告人による本件融資の媒介は、その融資先、融資の条件等に照らし、

銀行の業務として許容されるものでないことは明らかであり、

そのために被告人もそれを意識して、銀行本部に対し

融資の実態が明らかにならないように工作していたことが認められる。

 

また、被告人が媒介した一一回の融資のうち三回に際しては、

その融資資金の一部がA銀行から顧客らに対し正規の手続を経て

貸し付けられているほか、被告人がノンバンクに融資先として

右顧客らを紹介したことによって、

ノンバンクが同銀行に対して協力預金をしたことがあるけれども、

これらの事情は、本件融資の媒介の準備的な段階に関することであり、

それが銀行の業務として行われたものであるからといって、

それのみによって融資の媒介行為までが

銀行業務の遂行としてされたことになるものとはいえない。

 

このように、本件融資の媒介は、銀行業務の遂行としてではなく、

自己の責任と計算において行われたものということができるから、

出資法三条の禁止する行為に該当するものと認められる。

 

したがって、銀行の支店長であるために有する便宜かつ有利な立場を利用し、

自己及び銀行以外の第三者の利益を図るために行った本件融資の媒介につき、

出資法三条違反の罪が成立するとした原判決の判断は相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク