刑事補償請求事件についてした刑事補償決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告

(平成6年12月19日最高裁)

事件番号  平成6(し)127

 

最高裁判所の見解

一 未決勾留は、本刑に算入されることによって、

刑事補償の対象としては刑の執行と同一視せらるべきものとなり、

もはや未決勾留としては刑事補償の対象とはならず

(最高裁昭和三四年(し)第四四号同年一〇月二九日第一小法廷決定・

刑集一三巻一一号三〇七六頁)、本刑に算入された未決勾留日数については、

その刑がいわゆる実刑の場合においてはもとより、

執行猶予付きの場合においても、もはや未決勾留としては、

刑事補償の対象とはならない

(最高裁昭和五五年(し)第一二九号同年一二月九日第二小法廷決定・

刑集三四巻七号五三五頁)というべきであるが、それは、

未決勾留が刑の執行と同一視される場合、

あるいはその可能性がある場合には、

未決勾留が本刑に算入されることが利益となり、

本刑に算入された未決勾留について、更に刑事補償をすることは、

二重に利益を与えることになると解されるからである。

 

そうであるとすると、判決によって未決勾留が本刑に裁定算入され、

あるいは法定通算されることとなる場合であっても、

その判決確定当時、既に未決勾留が刑の執行と

同一視される可能性が全くないときには、その未決勾留は

刑事補償の対象となるものと解するのが相当である。

 

二 これを本件についてみるに、本件は、再審において、

申立人が確定判決で有罪とされた罪の一部については

無罪、その余の罪については懲役二年(未決勾留日数二〇〇日算入)・

三年間執行猶予の判決の言渡しを受けたものであるが、

右再審判決が確定したことにより、

右刑の執行猶予期間は確定判決の確定日から

三年後の昭和二七年四月二七日の経過とともに満了していることになり、

右刑の執行については、

右再審判決の確定日である平成六年四月六日において、

既に執行の余地はなく、本刑に裁定算入及び

法定通算された未決勾留日数が刑の執行と

同一視される可能性は全くないのであるから、

本刑に裁定算入及び法定通算された未決勾留日数についても

刑事補償の対象となるものというべきである。

 

三 したがって、本件の場合に本刑に裁定算入及び

法定通算された未決勾留日数について、

刑事補償の対象とならないと解し、刑事補償を認めなかった原決定は、

刑事補償法一条一項の解釈を誤った違法があり、

これを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。

 

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