刑法130条の邸宅侵入罪の客体

(平成20年4月11日最高裁)

事件番号  平成17(あ)2652

 

この裁判では、

管理者が管理する,公務員宿舎である

集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び

門塀等の囲障を設置したその敷地が,

刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

被告人らが立ち入った場所が同条にいう

「人の住居」,「人の看守する邸宅」,

「人の看守する建造物」のいずれかに当たるのかを検討する。

 

(2) 前記の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況,

その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況,

その管理の状況等によれば,

各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,

居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,

宿舎管理者の管理に係るものであるから,

居住用の建物の一部として刑法130条にいう

「人の看守する邸宅」に当たるものと解され,また,

各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は,

各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,

管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,

これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために

供されるものであることを明示していると認められるから,

上記部分は,「人の看守する邸宅」の囲にょう地として,

邸宅侵入罪の客体になるものというべきである

(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日

第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。

 

(3) そして,刑法130条前段にいう「侵入し」とは,

他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して

立ち入ることをいうものであるところ

(最高裁昭和55年(あ)第906号同58年4月8日

第二小法廷判決・刑集37巻3号215頁参照),

立川宿舎の管理権者は,前記1(1)オのとおりであり,

被告人らの立入りがこれらの管理権者の意思に反するものであったことは,

前記の事実関係から明らかである。

 

(4) そうすると,被告人らの

本件立川宿舎の敷地及び各号棟の1階出入口から

各室玄関前までへの立入りは,

刑法130条前段に該当するものと解すべきである。

 

なお,本件被告人らの立入りの態様,

程度は前記1の事実関係のとおりであって,

管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと,

所論のように法益侵害の程度が極めて

軽微なものであったなどということもできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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