刑法234条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合

(平成4年11月27日最高裁)

事件番号  平成4(あ)267

 

最高裁判所の見解

原判決及びその是認する第一審判決の認定によれば、

被告人は、部下の消防署職員と共謀の上、

町消防本部消防長の業務を妨害しようと企て、

ひそかに、消防本部消防長室にある

同人のロッカー内の作業服ポケットに犬のふんを、

事務机中央引き出し内にマーキュロクロム液で

赤く染めた猫の死がいをそれぞれ入れておき、

翌朝執務のため消防長室に入った消防長をして、

右犬のふん及び猫の死がいを順次発見させ、

よって恐怖感や嫌悪感を抱かせて同人を畏怖させ、

当日の朝行われる予定であった部下職員からの報告の受理、

各種決裁事務の執務を不可能にさせたというのである。

 

右のように、被害者が執務に際して目にすることが

予想される場所に猫の死がいなどを入れておき、

被害者にこれを発見させ、畏怖させるに足りる状態においた一連の行為は、

被害者の行為を利用する形態でその意思を

制圧するような勢力を用いたものということができるから、

形法二三四条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合に当たると

解するのが相当であり、

被告人の本件行為につき威力業務妨害罪が成立するとした

第一審判決を是認した原判断は、正当である。

 

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