刑法235条,刑法246条1項

(平成14年2月8日最高裁)

事件番号  平成13(あ)1341

 

この裁判では、

消費者金融会社の係員を欺いてローンカードを交付させた上

これを利用して同社の現金自動入出機から

現金を引き出した場合の罪責について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

同社とカードローンに関する基本契約

(カードローンの借入条件等が定められたもの。)を締結して,

同社から融資用キャッシングカード(以下「ローンカード」という。)を

交付されたカードローン契約者は,同カードを同社の各店舗に

設置された現金自動入出機に挿入して同機を操作する方法により,

契約極度額の範囲内で何回でも繰り返し金員を

借り入れることができるという権利を有する。

 

一方,同社は,同契約者が上記のような権利を行使しなければ,

同契約者に対し金員を貸し付ける義務を負わない。

 

同社発行に係るローンカードの所持人が,

同社の各店舗に設置された現金自動入出機に同カードを挿入し,

暗証番号を正しく入力したときには,たとえその者が

同カードの正当な所持人でなかったとしても,

現金自動入出機により,自動的に

貸付金相当額の現金が交付される仕組みになっている。

 

被告人は,他人になりすまし,

同社からローンカードの交付を受けた上,

同カードを利用して同社の現金自動入出機から

現金を引き出そうと企てた。

 

被告人は,群馬県館林市内の上記無人契約機コーナーに

設置された無人契約機を介して,不正に入手した

他人名義の自動車運転免許証により氏名等を偽るなどして,

前橋市内の同社Dにいる同社係員を欺き,

他人名義で同社と上記基本契約を締結した上,

同係員からローンカードの交付を受け,その約5分後に,

同カードを同無人契約機コーナー内に設置された

現金自動入出機に挿入し,同機を操作して作動させ,

同機から現金20万円を引き出した。

 

被告人は,ローンカードの交付に引き続いて

行われた現金の引き出しに際し,

上記係員から,現金自動入出機の操作について

教示を受けた旨供述している。

 

上記のようなカードローン契約の法的性質,ローンカードの利用方法,

機能及び財物性などにかんがみると,同社係員を欺いて

同カードを交付させる行為と,同カードを利用して

現金自動入出機から現金を引き出す行為は,

社会通念上別個の行為類型に属するものであるというべきである。

 

上記基本契約の締結及びローンカードの交付を担当した同社係員は,

これらの行為により,上記無人契約機コーナー内に設置された

現金自動入出機内の現金を被告人に対して交付するという

処分行為をしたものとは認められず,被告人は,

上記2のような機能を持つ重要な

財物である同カードの交付を受けた上,

同カードを現金自動入出機に挿入し,

自ら同機を操作し作動させて現金を引き出したものと認められる。

 

したがって,被告人に対し,同社係員を欺いて

同カードを交付させた点につき詐欺罪の成立を認めるとともに,

同カードを利用して現金自動入出機から現金を引き出した点につき

窃盗罪の成立を認めた原判決の判断は,正当である。

 

被告人が供述する上記のような事情は,

被告人の行為及び同社係員の行為の性質に関する

前記評価に影響を及ぼすものとは認められない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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