刑訴法21条1項にいう「不公平な裁判をする虞」

(平成23年5月31日最高裁)

事件番号  平成23(す)220

 

この裁判では、

最高裁判所長官として裁判員制度の実施に係る

司法行政事務に関与したことが同制度の憲法適合性を争点とする

事件についての忌避事由に当たるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

所論は,要するに,竹崎裁判官は,

①昭和63年に陪参審制度の研究のため渡米しており,また,

②最高裁判所長官就任後,裁判員の参加する刑事裁判に関する

法律の施行を推進するために裁判員制度を

説明するパンフレット等の配布を許すとともに,

③憲法記念日に際して裁判員制度を

肯定するような発言をしていること等に照らし,

裁判員制度の憲法適合性を争点とする本件について,

刑訴法21条1項にいう「不公平な裁判をする虞」があるというのである。

 

しかし,所論①が指摘する渡米研究の点は,

国民の司法参加に関する一般的な調査研究をしたというものにすぎない。

 

また,所論②が指摘するパンフレット等の配布に係る点は,

最高裁判所長官である同裁判官が,国会において

制定された法律に基づく裁判員制度について,

その実施の任に当たる最高裁判所の

司法行政事務を総括する立場において,

司法行政事務として関与したものであり,

所論③が指摘する憲法記念日に際しての発言も,

同じ立場において,同制度の実施に関し,

司法行政事務として現状認識や見通し及び意見を述べたものである。

 

最高裁判所長官は,最高裁判所において

事件を審理裁判する職責に加えて,

上記のような司法行政事務の職責をも

併せ有しているのであって(裁判所法12条1項参照),

こうした司法行政事務に関与することも,

法律上当然に予定されているところであるから,

そのゆえに事件を審理裁判する職責に

差し支えが生ずるものと解すべき根拠はない。

 

もとより,上記のような司法行政事務への関与は,

具体的事件との関係で裁判員制度の憲法上の適否について

法的見解を示したものではないことも明らかである。

 

その他所論に鑑み検討しても,竹崎裁判官が本件につき

刑訴法21条1項にいう「不公平な裁判をする虞」

があるものということはできない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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