刑訴法54条,刑訴規則62条1項,刑訴規則63条1項

(平成12年6月27日最高裁)

事件番号  平成11(あ)1298

 

最高裁判所の見解

被告人に対する上告趣意書差出最終日通知書等の送達手続について、

記録によれば、次のような事実が認められる。

 

被告人は、住居不定であって、

勾留されたまま公訴を提起されたが、

第一審で執行猶予付き懲役刑の判決の言渡しを受けたため、

勾留状が失効し、身柄を釈放された。

 

被告人は、右判決を不服として控訴を申し立てたが、

その際、原審あてに、石川県小松市内の被告人の住民登録上の住所を

送達場所とし、送達受取人を被告人として、

自己に対する書類を右場所において送達受取人あてに

送達されたい旨の書面を提出した。

 

しかし、右場所は、被告人の妹が

第三者に賃貸していた家屋の所在地であって、

被告人は右場所には居住していなかった。

 

その後、被告人は、原判決を不服として上告を申し立て、

原審に提出した当審あての弁護人選任回答書には、

被告人の住居として右場所と同じ場所を記載していた。

 

当審の裁判所書記官が上告趣意書差出最終日通知書等を右場所あてに

発送したところ、転居先不明で配達できなかったことから、

右通知書等を右場所にあてて書留郵便に付して送達した。

 

以上によれば、被告人が原審に提出した各書面に送達場所又は

住居として記載された場所は、被告人の住居又は

事務所とは認め難い場所であるから、

刑訴規則六二条一項の住居又は事務所の届出が

あったものと解することはできない。

 

しかし、被告人は、原判決を不服として上告を申し立てておきながら、

住居又は事務所を届け出ず、送達受取人を選任して届け出ることもなく、

住居としての実体のない場所を送達場所等として届け出たのであるから、

右場所にあてて送付された書類が現実に

被告人に届かないことがあったとしても、

その不利益を被告人が被るのはやむを得ないというべきである。

 

したがって、被告人に対する

上告趣意書差出最終日通知書等の書類は、

刑訴規則六三条一項の趣旨に照らし、

右場所にあてて書留郵便に付して

その送達をすることができるものと解するのが相当であって、

当審において右場所にあてて行った

書留郵便に付する送達は、有効である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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