刑訴規則222条の7第1項に定める手続を経ることなく刑法26条の2第2号により刑の執行猶予の言渡しを取り消すことの許否
(平成12年4月21日最高裁)
事件番号 平成12(し)67
最高裁判所の見解
刑訴規則二二二条の七第一項は、
「裁判所は、刑法第二十六条の二第二号の規定による
猶予の言渡しの取消しの請求を受けたときは、遅滞なく、
猶予の言渡しを受けた者に対し、
口頭弁論を請求することができる旨及びこれを請求する場合には
弁護人を選任することができる旨を知らせ、かつ、
口頭弁論を請求するかどうかを確かめなければならない。」
と規定している。
右規定は、刑訴法三四九条の二が猶予の言渡しを受けた者に対して
認めている口頭弁論を請求する権利及び口頭弁論を経る場合に
弁護人を選任する権利につき、それらが防御のための
重要な権利であることにかんがみ、
その存在を知らせて行使の機会を手続的に保障しようとするものである。
したがって、刑訴規則二二二条の七第一項に定める手続を経ることなく
刑法二六条の二第二号により刑の執行猶予の言渡しを取り消すことは、
猶予の言渡しを受けた者が刑訴法によって付与された権利を
侵害することになるから、許されないものと解される。
そうすると、刑訴規則二二二条の七第一項に定める手続を経ることなく
保護観察の遵守事項違反を理由として
刑の執行猶予の言渡しを取り消した原原決定及び
これを是認した原決定には違法があり、
これを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。
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