利息制限法1条1項

(平成19年2月13日最高裁)

事件番号  平成18(受)1187

 

最高裁判所の見解

貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合において,

第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて

利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し

(以下,この過払金を「第1貸付け過払金」という。),

その後,同一の貸主と借主との間に第2の

貸付けに係る債務が発生したときには,

その貸主と借主との間で,基本契約が締結されているのと

同様の貸付けが繰り返されており,

第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか,

その貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が

存在するなどの特段の事情のない限り,第1貸付け過払金は,

第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前に

されたものであるか否かにかかわらず,

第2の貸付けに係る債務には充当されないと解するのが相当である。

 

なぜなら,そのような特段の事情のない限り,

第2の貸付けの前に,借主が,第1貸付け過払金を充当すべき債務として

第2の貸付けに係る債務を指定するということは通常は考えられないし,

第2の貸付けの以後であっても,

第1貸付け過払金の存在を知った借主は,

不当利得としてその返還を求めたり,

第1貸付け過払金の返還請求権と第2の貸付けに係る債権とを

相殺する可能性があるのであり,

当然に借主が第1貸付け過払金を充当すべき債務として

第2の貸付けに係る債務を指定したものと

推認することはできないからである。

 

これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,

上告人と被上告人との間で基本契約は締結されておらず,

本件第1貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて

利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生した

平成8年10月31日の後に,本件第2貸付けに係る債務が

発生したというのであるから,上記特段の事情のない限り,

本件第1貸付けに係る債務の各弁済金のうち過払金となる部分は,

本件第2貸付けに係る債務に充当されないというべきである。

 

そうすると,本件において

上記特段の事情の有無について判断することなく,

上記過払金となる部分が本件第2貸付けに係る債務に

当然に充当されるとした原審の上記3(2)の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息の制限額を超えて

利息として支払われた部分を元本に充当することにより

発生する過払金を不当利得として返還する場合において,

悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,

民法所定の年5分と解するのが相当である。

 

なぜなら,商法514条の適用又は類推適用されるべき債権は,

商行為によって生じたもの又は

これに準ずるものでなければならないところ,

上記過払金についての不当利得返還請求権は,

高利を制限して借主を保護する目的で設けられた

利息制限法の規定によって発生する債権であって,

営利性を考慮すべき債権ではないので,

商行為によって生じたもの又は

これに準ずるものと解することはできないからである。

 

これと異なる原審の判断には,

判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 

以上によれば,論旨は理由があり,原判決中,

被上告人に関する部分のうち,本訴請求に関する部分並びに

反訴請求に関する部分のうち100万円及びこれに対する

平成16年12月1日から支払済みまで年30%の割合による

金員の支払を求める部分(本件第2貸付けについての請求部分)は

破棄を免れない。

 

そこで,前記特段の事情の有無等につき更に審理を尽くさせるため,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

なお,その余の部分に関する上告については,

上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので,

棄却することとする。

 

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